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終着駅に行ってきました

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終着駅という響きに、わけもなく惹きつけられる。この先にはもう線路がない、という最果てのロマン。そして一抹の哀愁。そこには、どんな街が広がり、どんな人たちが息づいているのか。憧れで… もっと読む
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2021年2月の記事一覧

轟音を響かせ、日本最東端の“ハイカラな町”へ(根室・JR根室本線)|終着駅に行ってきました#6

道東を代表する漁港を抱える町、根室。進取の気質に富んだ町には、ハイカラな洋食と建物、心地よいジャズを流す喫茶店と、よそ者を快く受け入れる酒場。そして轟音を立てて走り続けてきた鉄路がありました。〔連載:終着駅に行ってきました〕 文=服部夏生 写真=三原久明 「すみません、ちょっといいですか」  ここは、北海道の根室港。硬く凍った雪の向こうには海が広がり、かなたにはうっすらと国後島が見える。港の突端では、海から戻ってきた漁船が水揚げを始めている。それを目ざとく見つけた海猫たち

開拓地の酒場に集う、心やさしき荒くれども(小島新田・京急大師線)|終着駅に行ってきました#5

工場地帯の入り口にある、昭和の香りを今もとどめる終着駅は、日本の産業を下支えしてきた京浜工業地帯に勤める人たちの玄関としての役割を今も果たしています。そんな駅のそばにある、スタンドの酒場には、ちょっぴりラフで、ほんのりあったかい空気が流れていました。〔連載:終着駅に行ってきました〕 文=服部夏生 写真=三原久明  小島新田駅に降り立った我々を出迎えたものは、風の音だった。  夕暮れ時。ミハラさんと待ち合わせて、京浜川崎駅から大師線の赤い車両に乗り込んだ。5キロにも満たない