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地元にエール これ、いいね!

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日本全国の“地域の宝”を発掘する連載コーナー「地元にエール これ、いいね!」。地元の人々に長年愛されている食や、伝統的な技術を駆使して作られる美しい工芸品、現地に行かないと体験で…
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2023年1月の記事一覧

【五島のかんころ餅】焼くことで味と香りがぐんと深まる、ほっとする味わいのさつま芋スイーツ(長崎県五島市)

「かんころ餅」は五島列島(以下、五島)に古くから伝わる郷土菓子。さつま芋を薄く切って茹でて、寒風にさらして干したものを「かんころ」と呼ぶのだそう。これを湯で戻し、蒸したもち米と混ぜ合わせて、形を整えれば完成だ。  江戸時代、五島藩の開拓移民政策により、九州本土の大村藩から3000人を超えるキリシタンが五島に渡った。彼らは旧来の集落から遠く離れた山の斜面や入江に根を下ろした。山の斜面は米作りには適さないが、さつま芋はよく育つ。ゆえにさつま芋を主食とし、保存の工夫からかんころ餅

【土佐の皿鉢料理】華やかな皿にあふれんばかりの山海の幸(高知県高知市)

「土佐料理 司 高知本店」の目を見張るほど立派な皿鉢料理を前にしてお話を伺ったのは、RKC調理製菓専門学校の元校長で、土佐料理に精通する三谷英子さん。  皿鉢料理の起源は直会*1にあり、江戸時代、本膳料理*2に彩りを添えるために、料理を大皿(皿鉢)で供したのが始まりだという。 「その後、皿鉢料理は形式を重んじる本膳料理から離れて、土佐ならではのおきゃく文化と結びつきながら独自に発展し、郷土料理として定着したんです」 「おきゃく」とは土佐弁で宴会のこと。気どらない宴で杯を