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ウェッジから刊行された書籍の中から、ほんのひとときがおすすめする、旅や文化・歴史に関するものをご紹介していきます。
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#屏東

“台湾の旅”がもっと楽しくなる4冊

4月3日の台湾地震で被害を受けられた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。 このたび、台湾観光庁が「台湾安全宣言」という動画を公開し、台湾各地への観光を呼び掛けておりますので、きょうは台湾の旅が楽しくなる4冊をご紹介いたします。 ─── No.1 ───増補版 台北・歴史建築探訪日本が遺した建築遺産を歩く 1895~1945 片倉佳史(文・写真) 台湾在住作家である片倉佳史氏が、台北市内に残る日本統治時代の建築物を20年ほどかけて取材・撮影してきた渾身作で、豊富なカラ

傘がなくても自分の足で走る人を探して|山脇りこ『旅する台湾・屏東』より

「無傘的囡仔 要比別人跑卡緊」。直訳すれば、「傘を持っていない子供は、誰よりも速く走るしかない」。 2022年まで屏東県長だった潘孟安氏が自身の8年の任期を振り返るムービー(YouTube)を見ていて、雨の中を走る少年の映像にのせて語られるこの言葉が、とても気になった。 屏東県の南、東港出身の友人に聞いてみると、彼女は「これは屏東のことだと思う。台北から一番遠い県で、貧しいし、資源もない。注目もされず、国の支援も後回しにされがち。となると、自分たちで自分たちの価値を見出す

もっとも“熱い”台湾の地へ|一青妙『旅する台湾・屏東』より

さあ、屏東へ台湾の最南端にある屏東は、「台湾尾」の通称で呼ばれている。 なるほど、サツマイモの形をしている台湾の、下端のキュッとなったところで、尻尾に見えなくもない。 歴史を遡ると、あたり一帯は平埔族阿猴社の人々が暮らした場所で、AkauwまたはAck−auwと発音されていた。漢字表記として、最初は音が近い「阿猴」の文字が当てられていたが、1903年に「阿緱」となった。1920年になると、各地で語呂が悪いものや何と呼んでよいか判りにくい地名を適当な名称に変更する動きがあり