旅の途中|心に響く101の言葉(10)
奈良の古刹・興福寺の前貫首が、仏の教えと深い学識をもとに、古今の名言を選び、自らの書とエッセイでつづった本書『愛蔵版 心に響く101の言葉』(多川俊映 著)よりお届けします。
すべてはみな、旅の途中
気仙沼の柞の森に住む歌人・熊谷龍子さんに、
降って止んで溶けて流れて雪片はお仕舞いのなき旅の途中よ
の一首がある。
雪は溶けて奥深い森を伏流する――。目にはみえないけれど、なくなってはいない。カタチを変え、いのちを育み・いのちをくぐり抜けて、旅をつづける。
ある