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「注目記事」に選ばれた記事

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「ほんのひととき」が投稿した記事の中で、noteの「注目記事」に選ばれた記事をこちらにまとめています。
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#おすすめ本

そうだ、と始めたら 30年がたっていた。(コピーライター 太田恵美)|『「そうだ 京都、行こう。」の30年』より

京都に必要なのは、情報ではなく、感情だった。1993年スタート時、京都はチョー有名な観光地だったけれど、多くの人にとっては修学旅行で「連れて行かれた」、やや面倒臭い場所でもあった。歴史はご立派らしいが、面白いのかどうかわからない。自分と関係があるとは思えない。今を生きている町とは言い難かった。とりわけ、京都生まれながら、辛気臭いと飛び出した私にはそうだった。 じゃあ、何を見せるか、語るか。京都の歴史的建造物や季節の写真はすでに膨大に出回り、皆が知ったつもりになっていた。それ

なぜ今年の大河ドラマは家康なのか?

文=城島明彦(作家) 「不断桜」に重なる徳川家康の生き様「戦国の三英傑」を桜に喩えると、織田信長は「しだれ桜」、豊臣秀吉は「八重桜」、徳川家康は「不断桜」ではないかと考えます。不断桜というのは、三重県鈴鹿市の子安観音寺の境内にある「白子不断桜」のことで、四季を問わず花をつける不思議な桜の呼称です。 観音寺から家康最大の危機を救った白子港までは、そう遠くはありません。家康は信長と軍事同盟を結んでいたために、「本能寺の変」で明智光秀に命を狙われ、滞在先の堺から決死の「伊賀越え

世界から愛される千年の都、京都の浪漫に触れる5冊

京都は、2020年秋、米国の権威ある旅行誌の読者投票にて魅力ある都市、世界一に選ばれました。日本人はもちろん、世界中の人々からもこよなく愛される京都。その魅力を尋ねられたら、美しい景色、奥深い文化や歴史、美味しい食べ物、そうしたことは、誰もが答えられるでしょう。けれど、京都のさらなる魅力を知っていただきたい…そこで、今回ご紹介するのは一歩、二歩、いえ、三歩奥へとずいっと踏み込んだ京都に関する5冊です。ありきたりのガイドブックでは決してたどり着くことができない、そんな京都へあな

読書で歴史探訪のミステリーツアー 『古社寺の謎シリーズ』で日本史の謎に迫れ!

明治維新の真っ只中、文明開化による目新しいものへの興味関心が高まるとともに、日本古来の伝統文化を「旧物」として軽んじる社会風潮が生まれます。特に宗教視点では「神仏分離令」によって廃仏毀釈の活動が活発化し、歴史ある寺院の仏像や古文書、建造物や美術品などが大量に破壊されたり、海外への流出が後を絶ちませんでした。のちに政府が主要な古社寺(こしゃじ)に保存金を交付して維持・管理したり、歴史的・美術的に価値の高い建造物や宝物類を「国宝」などに指定しながら保護してきたのには、そのような経

“にわ” 人間を主役とする日本庭園|中西進『日本人の忘れもの』

万葉集研究の第一人者である中西進さんが執筆し、2001年の刊行以来いまも売れつづけているロングセラー『日本人の忘れもの』がついに電子書籍化されました。ここでは、特別にその内容を抜粋してお届けいたします。 石と対話してみてはどうか いま、たくさんの人がマンションに住んでいる。そんな中で庭の話をしても仕方ないというかもしれないけれども、人間の生活は庭をとても大事にしてきた。  今でもホテルの中の料亭はビルの中とも思えないような庭を造っている。とくに日本料理の店は、庭があると急

仏像にも「位」があるって知ってますか?|仏像のキホン講座#1

こんにちは、仏像イラストレーターの田中ひろみです。 私の新刊『仏像イラストレーターがつくった 仏像ハンドブック』から、仏像鑑賞のツボを皆さんにお伝えします。奥深い仏像の世界ですが、ちょっと知識があるだけで、より楽しめるようになるんですよ。 「仏像」と一括りにいっても、種類があるってご存知でしたか? たとえば、「阿弥陀如来」「薬師如来」「釈迦如来」とは言っても、「阿弥陀菩薩」「薬師菩薩」とか「釈迦菩薩」とは言わないんです。それは、如来と菩薩は違うカテゴリーだから。「阿弥陀」「