マガジンのカバー画像

「疫病」から読み解く日本史

7
古来より日本人を悩ませてきた疫病。昔の人々はどのようにその不安と向き合い、また、どのような社会の変革へと結び付けていったのでしょうか。当時の日記や文献をもとに読み解いたものをまと… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

平安時代の感染症対策をルーツとする御霊会(2)疫病を祓い敗者の霊を鎮めた2つの御…

文・ウェッジ書籍編集室  5月下旬に緊急事態宣言が解除されたとはいえ、まだまだコロナ禍の…

かわいくてグロテスクなアマビエ――「疫病時の護符」に見る日本人の偏愛

疫病退散にご利益があると言われ、日本中で大ブームを巻き起こしたアマビエ。中世の怪異を時代…

平安時代の感染症対策をルーツとする御霊会(1)疫病退散を祈願した神泉苑の法会

文・ウェッジ書籍編集室  5月下旬に緊急事態宣言が解除されたとはいえ、まだまだコロナ禍の…

『日本書紀』が記す古代日本のパンデミック――オオモノヌシを祀る大神神社と疫病の深…

文・ウェッジ書籍編集室 三輪山の神オオモノヌシ伝承を綴る『日本書紀』 奈良盆地の東辺は青…

古代から日本人は感染症に苦しめられてきた――編纂1300年、『日本書紀』が記す仏教公…

 文・ウェッジ書籍編集室  現在、世界中が新型コロナウイルスの渦中にありますが、人間と感…

『百鬼夜行絵巻』が物語る、飢餓と疫病による“絶望”の記憶

 室町時代の日本社会は繰り返し災害に襲われたが、いわゆる応仁の乱の直前、寛正年間(1460〜…

昔も今も変わらない「凶事」を避ける手立てとは?

 不思議な花が咲くこともある。  場所は古都奈良の御蓋山(みかさやま)のふもとに鎮座する春日大社。日本の最高の貴族である摂関家の氏神をまつったあの神社である。その春日大社につかえる神主の日記『中臣祐賢記(なかとみのすけかたき)』弘安三(1280)年八月三日の条に、奇妙な報告書が書きあげられている。銀花が咲いたというのである。その報告は詳細をきわめ、春日大社を構成する四つの神殿と若宮御殿のすべてにわたって、咲いた柱と、その花の本数が書きあげられている。  もっとも銀花といい