マガジンのカバー画像

飛騨さんぽ

9
紆余曲折を経て雪国・飛騨に移り住んだ浅岡里優さんが、日々の暮らしの中で感じた飛騨の魅力を飾らない言葉で綴っていきます。
運営しているクリエイター

#この街がすき

【飛騨の匠】1300年の伝統を受け継ぐ木工の技と心|飛騨さんぽ

飛騨の街歩きは、楽しい。最近は、いろいろな建造物に目を凝らすのにハマっている。 趣を感じる街並み、見た目から伝わる美しさに心が踊るのはもちろんだが、その歴史に想いを馳せると日本文化の持つ奥行きを感じることができる。 飛騨は昔から「匠の里」として知られてきた。現地で暮らしていると、「飛騨の匠」という言葉をよく耳にする。飛騨出身の夫の話では、小学校の頃から社会科の時間に「飛騨は、匠のまち」と習うらしい。歴史を学ぶだけでなく、実際の大工の方を招いた木工授業なども行われているとい

カオスな神岡!東洋一の鉱山が造り出した街|飛騨さんぽ

これまで飛騨の大自然や伝統ある文化を紹介してきたが、飛騨市にはまたひと味違った魅力のあふれる街がある。それが「神岡町」だ。 東洋一の鉱山とも謳われた神岡鉱山を有するエリアで、明治から昭和にかけて繁栄した街の様子がいまも色濃く残っている。 今回は、歴史の風情と時代の最先端が入り交じるカオスな街・神岡の魅力をご紹介したい。 鉱山とともに繁栄してきた町飛騨はもともと、山国で米があまり獲れなかったため、平安時代には「下下の国」と言われるほど貧しい地域とされていた。なかでも神岡町

春の訪れを告げる音。230年の伝統を灯す和ろうそく|飛騨さんぽ

「飛騨さんぽ」は、紆余曲折を経て雪国・飛騨に移り住んだ浅岡里優さんが、日々の暮らしの中で感じた飛騨の魅力を飾らない言葉で綴る連載です。第4回は、飛騨古川の地で230年の伝統を受け継ぐ「和ろうそく」について。  春の訪れを感じる音がある。  しゃかっ、しゃかっ、とん、ととん。  和ろうそくづくりの音だ。 ※この動画は作業の様子を再現していただいたものです。音声をONにしてご覧ください。  飛騨古川には江戸時代から約230年続く“三嶋屋和ろうそく店”がある。その趣きある

ご挨拶に、日本酒。|飛騨さんぽ

「飛騨さんぽ」は、紆余曲折を経て雪国・飛騨に移り住んだ浅岡里優さんが、日々の暮らしの中で感じた飛騨の魅力を飾らない言葉で綴る連載です。第2回は、飛騨古川の人々がこよなく愛する地酒について。  冬になると、みなさんは何が恋しくなるだろう。こたつ、みかん、はたまた人肌なんて人もいるかも知れない。  私はというと、冬には日本酒が恋しくなる。 「九州生まれです」と言うと、よく焼酎好きと思われるのだが、私は日本酒派。佐賀の母の実家から歩いて行けるところに酒蔵がいくつかあって、幼い

優しさのおすそ分け|飛騨さんぽ

「飛騨さんぽ」は、紆余曲折を経て雪国・飛騨に移り住んだ浅岡里優さんが、日々の暮らしの中で感じた飛騨の魅力を飾らない言葉で綴る連載です。第1回は、飛騨古川に暮らす人々の優しさについて。  私が暮らす飛騨古川は、戦国時代の武将・金森可重が築いた城下町である。 雪化粧した飛騨古川の白壁土蔵の街並み  飛騨といえば高山が有名だが、飛騨古川も高山に負けず、歴史情緒あふれる街並みが残っている。  一般的に、こういう歴史的に魅力ある場所は観光的な要素が多くなりがち。賑わいがあってい