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新MiUra風土記

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この連載では、40年以上、世界各地と日本で20世紀の歴史的事件の場所を歩いてきた写真家の中川道夫さんが、日本近代化の玄関口・三浦半島をめぐります。
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逗子、写真家中平卓馬への路(中川道夫インタビュー)|新MiUra風土記(番外編)

編集部(以下、――):2023年夏に「挑発関係=中平卓馬×森山大道」展が開催された際、中川さんが森山大道さんにお話を伺いました。森山さんから中平卓馬さんについての貴重なお話を伺うことができましたが、2003年の「中平卓馬 原点復帰―横浜」展(横浜美術館)から20年、今回の展覧会を見ての率直な感想はいかがですか。 中川(以下、省略):展覧会タイトルの「火ー氾濫」を見たとき、一瞬「否−叛乱」と読み違えそうになりました。美術館があるのはかつて帝都の近衛師団司令部ゆかりの地で、竹橋

【森山大道 特別インタビュー】逗子、ふたりの写真家と『八月の濡れた砂』|新MiUra風土記

文学記念碑「太陽の季節」が建つ海水浴場に人がもどってきた。北端の磯場には徳冨蘆花の「不如帰」の石碑が立ち背後には披露山がせまる逗子湾の変わらぬ名勝だ(*1)。 その披露山の山腹に白亜の屋敷が見えるのが故石原慎太郎邸。そして麓の路地にはひとりの写真家が住んでいて、もうひとりの写真家は逗子湾の南端に棲家があった。 この夏『挑発関係=中平卓馬×森山大道』展が神奈川県立近代美術館 葉山で開かれている。逗子と葉山ゆかりのふたりの写真家はいま日本を代表する写真家として国際的に評価が高

いざ紅葉!古都鎌倉|新MiUra風土記

この連載「新MiUra風土記」では、40年以上、世界各地と日本で20世紀の歴史的事件の場所を歩いてきた写真家の中川道夫さんが、日本近代化の玄関口・三浦半島をめぐります。第2回は、2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の舞台でもある古都鎌倉を歩きます。 わかりにくい鎌倉史「なぜこんなに人がいるのだろう!? 週末でもないのに」。  鎌倉駅におりると、いつもそう呟いてしまう。鎌倉は四季を通して行楽客が絶えないが、古都の見どころの多彩さは奈良や京都には比べようもない。そこに次の