マガジンのカバー画像

笹岡隆甫 花の道しるべ from 京都

21
華道家元・笹岡隆甫氏による連載コラム。花にまつわる絵画や伝統芸能などの文化・歴史的背景を探り、さらなる花の魅力をお伝えします。
運営しているクリエイター

記事一覧

【京のひな祭り】桃の節句と呼ばれる所以と陰陽思想の影響|花の道しるべ from…

桃は、邪気を払う花色節句には、祝祭と厄払い、相反する二つの意味合いが同居している。日本で…

35

旅立ちの時である新年 初釜で結び柳と白玉椿を飾るワケ|花の道しるべ from 京…

京都に住まう私たちの暮らしは、さまざまな年中行事に彩られている。お盆や五節句、祭礼などの…

51

名庭で知られる清水寺・成就院で奉納 花に願いを託して|花の道しるべ from 京…

12月に入ると、早々に正月花の稽古が始まる。家元には教授者が指導方法の勉強に来るのだが、中…

17

秋バラで彩る 100年近く続く招待制の催し「洛趣会展」|花の道しるべ from …

京都の老舗が集い、毎年開催している「洛趣会展」という展示会がある。同人26社の常連客を対象…

18

ほんのりと紅葉色づく京都でいけばな展 (南禅寺天授庵・ウェスティン都ホテル京都)

京都屈指の紅葉の名所である南禅寺は、臨済宗の禅寺。南禅寺天授庵は塔頭のひとつで、庭園の美…

17

古代の日本人にとって、秋こそ花が咲き誇る季節だった|花の道しるべ from 京都

華道家の繁忙期がやってきた。春の繁忙期は3月後半~4月の約ひと月半だが、秋は9月~11月と期…

47

二条城に現代アート展を誘致 古典と現代の共鳴が文化の発展につながる|花の道しるべ from 京都

二条城での国際会議で現代アート展「時を超える:美の基準」 2019年9月、夜の二条城。現代アートの展覧会が開催されている台所の前庭に、現代美術家・白石由子氏が手掛けた音楽が流れる。流木に添えたのは、紅葉しはじめたナナカマドとケイトウ。小川裕嗣氏の樂焼には、秋草を添えて京都らしい雰囲気を残しつつ、バショウの葉にダイオウショウ、ヤマシャクヤクの実を合わせてモダンな印象に。次々といけられていく秋の花たちを、海外からのゲストは興味深く見入っていた。  木と土と石と。二条城の建築を構

フラワーアレンジメントのルーツとされる花・睡蓮 ─モネの絵画といけばな|花の道し…

 古来、洋の東西を問わず愛されてきた睡蓮。花の形が太陽に似ており、朝に開き夕方に閉じるこ…

33

祇園祭に欠かせない花・檜扇と“神の使い”お稚児さんの思い出|花の道しるべ from 京…

 7月の声を聞くと、京の町には祇園祭の鉦の音が響きわたる。山鉾を彩る懸装品、駒形提灯、厄…

50

日本人にとって花は人生の師匠のような存在|花の道しるべ from 京都

 アートアクアリウムアーティストの木村英智氏から、一本の電話がかかってきた。彼が発案・確…

3

なぜ新春に松と梅が欠かせないのか|花の道しるべ from 京都

 わが家の正月準備は「根曳きの松」を飾ることから始まる。根曳きの松は門松の一種だが、松竹…

2

【いけばなの日】実は古くから伝わる定番の組み合わせ・松とバラ|花の道しるべ from …

バラづくしのいけばな展 6月6日は「いけばなの日」だ。「6歳の6月6日に稽古事を始めると上達…

29

初夏を彩るカキツバタ “重ねの構図”で能舞台を演出|花の道しるべ from 京都

最上位の紫を花色に持つ高貴な花・カキツバタ  深みのある紫の花色とみずみずしい緑の葉のコ…

29

京都に最も似合う桜・紅しだれに包まれて|花の道しるべ from 京都

「ひと枝だに惜しまるる」  桜をいける時、祖父が決まって口にした言葉だ。豊麗な桜花の美しさに敵うものはないのだから、ただやみくもに花鋏を入れるのではなく、つぼみのついた枝はたとえ一本でも大切に扱うように、という先人の教え。桜は、豊かに艶やかにいけるのが良しとされる。 華道家にとっての勲章 華道京展に出瓶 咲き誇る花たちは、みずみずしい生命力に満ちあふれ、誰もが知らず知らずのうちに、心を浮き立たせる春。華道家にとっては繁忙期でもある。昭和25年にスタートした「華道京展」は、