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知らないとまずい運動機能(筋緊張)のみかた

筋緊張検査

 筋緊張は、運動野・基底核・中脳(網様体)・前庭・脊髄・神経-筋系の6つノレビルによってコントロールされている。このうち、運動野から前庭の働きは上位中枢のコントロール、それ以下は伸長反射による筋の緊張保持の働きとなる。

筋緊張の亢進

Hypertonus 
a.痙縮
 運動速度で抵抗力が変わる。受動運動は早く動かすほど抵抗が大きい。関節運動の初めは抵抗が大きく、あるところまで動かすと抵抗は抜ける。
→claps-knife phenomenon
 屈筋または伸筋のどちらかが侵される。上肢では屈筋群、下肢では伸筋郡に出現しやすい。錐体路障害によって生じる
・評価
被動性検査
 関節を受動的にいろいろな速さで動かす。手関節の拳背屈や肘の屈伸、足関節の底背屈などで筋の抵抗感を評価する。
 痙性の程度はAshworthの評価法を用いて段階づけする。

b.固縮
 屈筋および伸筋の両者が侵される。動作のはじめから終わりまでほぼ一様な抵抗を示す。
ちょうど鉛管を曲げる感じに似ておりlead-pipe rigidityと呼ばれる
パーキンソン病の筋強剛はカクン、カクンと歯車を動かすように感じられるため、cogwheel rigidityという。筋強剛があると動作は緩慢になり深部腱反射は減弱していることが多い。
 固縮は錐体外路障害によって出現する。深部腱反射は出にくくなる。一般的に、手首に現れることが多く、次いで、肘関節、肩関節のように遠位から近位へと進行する。

Hypotonus
 筋肉は弛緩して垂れ下がり、触れると柔らかく、筋特有の抵抗が減弱している。
 筋緊張低下は小脳疾患、片麻痺の初期や末梢神経損傷に見られる。
評価
伸展性の検査
 筋を受動的にゆっくり伸ばした時にどのくらいの抵抗感かを評価する。この検査は、患側と健側の比較によって判定する。
 背中の後ろで肘を引き寄せたり、足の底背屈、膝の屈伸などで評価する。

項部筋緊張のみかた

1.項部硬直 Nuchal rigidity
 supainで頭部を持ち上げて検査する。正常では顎が胸につくまで曲がり、著しい抵抗もない。持ち上げるときのみ明らかな疼痛や抵抗感があり屈曲が不十分な場合陽性反応とする。
これは、髄膜刺激徴候の一つである。
2.頭落下試験 head-dropping test
 患者の頭を保ちあげ急激に離す。正常では頭は重い物体のように落ちるが、パーキンソン病で頸部筋強剛がある場合はゆっくり落ちる。

Westphal phenomenon

westphal phenomenonは筋強剛を示す筋強剛を示す錐体外路障害の判定に有効。また、前脛骨筋の検査は、下肢の筋強剛の早期発見に有用。
1.下肢
 回外を加えながら背屈する。この操作によりTAが収縮し腱が隆起してくるのが見える。前脛骨筋が収縮すると、手を離してもしばらく背屈位をとる。

受動運動による徴候

下肢や頸部を受動的に動かして、伸展性や疼痛が起こるか見る
1.kernig sign
髄膜刺激徴候の一つで、股関節、膝関節を90°に曲げ下腿を伸展させる。正常では下腿は真っ直ぐに伸び、大腿と下腿の角度は135°以上となる。
2.bruzinski sign
 髄膜刺激徴候の一つで、背臥位の患者の頭を他動的に屈曲させると、股関節と膝関節に自動的な屈曲が起こる。
3.Lasegue sign
正常では股関節を70°くらいまで持ち上げても疼痛を訴えない。坐骨神経痛、ヘルニア、後根疾患で陽性になる。
4.Patrick sign
 正常では大腿外側が床に付くまで外転できる。股関節疾患では疼痛のため外転が不十分になる。
5.Lhermitte sign
 首を他動的に前屈させると、放電様の疼痛が背中中央を上から下に走る。多発性硬化症で認められる。

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参考文献

理学療法評価学
ベッドサイドの神経のみかた

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