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7 「意図せざる結果」と「緩さ」の中で生きる

『社会を知るためには (ちくまプリマー新書)』(筒井淳也著)

 社会学者による『社会を知るためには (ちくまプリマー新書)』(筒井淳也著)を読み始めた。社会学の入門書というよりも、「社会」の捉え方を再確認するための社会の入門書といった感じだろうか。
 確かに生まれてこのかた、社会科の授業はあったものの、「社会の取説」のようなものは読んでいないし、多くは社会の「現象」を解説しているだけで、社会そのものを自分たちがどう見ればいいのかは、「いろんな見方があるよね」的な話になり、さらに「お国柄」であるとか「民族」とか「人種」とか「哲学」「思想」といった、さらに難しい回路を経なければ理解できないものなのだ、といったガイドがなされることが多く、「いまは、わからなくてもいい」と放置されたまま成長してしまうこともあるのではないか。
 あるいは、「自分はこう思う」を見つけたとしても、何度もそれは揺らぎ、改訂や修正を加えられて、いまもなお、揺らぎ続けているような気さえする。これはもう、生涯、揺らぎ続けるものなんだ的達観に到達してもおかしくはない。
 それを著者は、冒頭でいきなり社会は「知れば知るほど『わからない』もの」とし、社会は「決して思い通りにならない」なおかつ「動かす余地が、いくらでもある」とする。これを端的に「意図せざる結果」「緩さ」と表現する。
 というあたりまで、とりあえず読んだ。この先はまたいずれ読もう。

9月が終わろうというのに暑い

 台風14号が発生したとニュースで聞いた。秋の台風シーズンにしては少ない。だが、それ以前に発生した台風は、台風そのものによる被害に加えて、台風によってもたらされた前線の活発化による大雨、さらに線状降水帯の発生が被害をもたらした。
 気象はある程度の予想は可能だが、それは当たるときもあれば当たらないときもある。これが社会である。気象による被害を受ける人もいれば、それほど大きな被害を受けずにすむ人もいる。これが、社会の緩さであろう。
 気象を変えることはできないが、災害に対処する、あるいは住む場所を変えるといった対応は理論上はできる。理論的にはできても、現実的ではない。なぜなら、災害への対処は個人で思いつきでできることは知れているし、住む場所を変えるといっても、どこに行くのが正解なのか誰もわからないのだから。
 こうした事実は、漠然とした不安、漠然とした恐怖につながるだろう。
 9月ももう終わりだ。それなのに暑い。これが現実であり、それに私はどんな対処ができるかといえば、大したことはできない。

スイカの好きなシー・ズー

 我が家には犬がいる。7歳になったシー・ズーである。7歳なのに体重は3キロしかなく、それは生まれたとたんに「巨大食道症」と診断されて、食べ物が胃へ落ちる前に食道の弛みに溜まってしまい、それを吐くからだ。こうなると殺処分へ、となるので保護団体のペット里親会に預けられた(その経緯はもう少し複雑だったと推測されるが)。
 巨大食道症の場合、食事は立たせて(上体を起こしたままで)与え、そのまま食べ物が胃へ落ちるまで30分ほど立たせておく。大型犬の場合は木製のイスのようなものにすっぽり入れている例が、SNSにはあった。たいがいは、老犬で発症して、誤嚥性肺炎を起こして亡くなる。
 このためペット里親会は「余命数か月」との触れ込みで「それでもいいから預かってくれる人」を募集し、我が家にやってきた(この経緯ももう少し複雑である)。
 ともかく、どういうわけか懇意の獣医師といろいろ対応した結果、吐くことが減れば、当然のように成長をはじめて1年後にはレントゲン検査で「あれ、巨大食道症じゃないぞ」となった。弛みが成長によって消えた。もちろん、今後は高齢になって再び弛む危険性はあるだろう。
 この犬の大好物がスイカである。
 巨大食道症克服のため、喉の通りのいいものを与え続けてきた。スイカも搾って汁のみだ。それが、この異常な夏のおかげで、ついこの間まで、豊富に入手できたのだが、先週からパタッと「シーズン終了」となってしまった。
 だけど、いまも夏のように暑い。彼女はスイカを諦めるしかない。
 ここまで書いてきて、どうして巨大食道症が消えたのかは、誰にもわからないので、ファンタジーのように思えてしまう。作り話かもしれない。現実には彼女は今日も元気で朝、私たちを起こす。微睡みの中にいると、ちょっかいを出してくる。時計を見れば午前5時である。
 土曜日の朝ぐらいはもっとゆっくりしたいものであるが、彼女の「夏時間」はまだ完全には終わっていない。犬はたいがい夏はとんでもなく早起きだ。夜明け前に起きる。だが、秋になり冬になれば、寝ている時間は増える。まして7歳になれば、そろそろ高齢である。
 こうして、私の毎日は、「意図せざる結果」と「緩さ」の中で始まっていくのだ。


 


 

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