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私のなかの水辺。

 私が本と川と街に参加したのは、「まちづくり」というワードに惹かれたからでした。就職活動を控えている私は、将来のためになにをすべきなのかを模索中です。
 そんななか出会ったのが、この「本と川と街」というアートプロジェクトのボランティア活動でした。

 初めは、こんなにもアートに対して造詣の深い方ばかりだと思わず、馴染めるだろうか?私は場違いななのではないか?と不安でした。
 しかし繰り返しミーティングに参加するなかで、それは杞憂である事に気付きました。
 なぜなら、1つの事柄についての表現を形にし、それに対して感じたことを新たな視点として共有する姿をみたからです。
  常日頃からアートに触れているひとは、発信者がなにを伝えようとしているのかを受け止めてくれる、優しい雰囲気に溢れているように感じ、不安もなくなっていきました。


 そして10月9日、「両国リバーセンター大掃除」で初めて本と川と街に参加なさってる方々の多くとお会いする機会に恵まれました。

 想像していた以上に人が多く、イワタさんの特徴的な白眼鏡を見つけられなければ違う団体かと思うところでした。
 内心で、ありがとうイワタさんの白眼鏡…と思いつつ合流しました。

 掃除を進めていく中で、話しかけて下さったり、力を貸してくれる方が多くいて、とても和やかな気持ちになりました。
 目の前には川が広がっていて、そこを通るボートに乗っていた人々に手を降れば振り返してくれました。あの日の川辺は、人と人との距離を自然と縮めてくれるようで、とても心地が良かったです。


しかし、私にとって川辺、強いては水辺はあまりいい印象はありません。

  私の地元は3.11による津波で被災し、大きな傷跡を負いました。
  家を流されてしまった友達や、長い間地元の学校の体育館に避難していた知り合いのことを思い出すと、今でも胸が苦しくなります。
  また、大学生になり上京してから1年目のときの台風で、川が氾濫しそうになったときもすごく怖かったことを覚えています。

  今でも海や川をみると、綺麗だなぁという思いの他に、どうしてもプラスの方向へと持っていけない気持ちが心に残ってしまうのです。

 「本と川と街」のコンセプトは「たちどまる、ふりかえる。そして、あるきだす。」です。
  私は、1度たちどまってふりかえると、過去にとらわれている自分がいることに気付きました。

  どうしたらあるきだせるのか、それを考えた時に、キレイにした両国リバーセンターの階段にストリートピアノの音が響き、設置された本棚にある本を人々が読む。
  非日常な憩いの場が出来上がることに対してのワクワクが、背中を押してくれるような気がしました。

  きっと私のように、ふりかえったら素直にあるきだせない人が多いご時世です。
  そんな人々がたちどまった時に、色々なことを考えさせてくれるのが「本と川と街」プロジェクトだと思います。

  いよいよ1週間後にスタート致します。多くの人がアーティストさんたちの作品をみて、たちどまる時間を楽しんでくれたらいいなと願うばかりです。
  きっと寒くなるだろうから、近隣のカフェ巡りも兼ねて色々な展示を巡ってみてください(*^^*)

  拙い文章でしたが、ここまでお読み下さりありがとうございました。

柏原遥陽


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