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徒歩20分を2時間かけて歩くと約100年と2000kmが過ぎました

まちあるき、って知ってますか?
見知った近くの街を、この土地の歴史やアートや建物を、ここに生きてきた人たちの目線、訪れる人の目線、戦後という文脈で語るひとと一緒に歩くとき、いつも何気なく過ごしてきた街角が、驚くべきことにまったく違った世界に見えるんです。ちなみに、本と川と街が今年からなんとなく始めた試みです。本川街の「まちあるき」、その真の意味を知らなかった、初めて知ったあなたが正解です。

今日は、約12人ほどで菊川~森下エリアを歩きました。
電車でDD約10分(DD=出口―出口です)自転車をすっ飛ばして10分、早歩きの徒歩20分。そんな慌て者の現代人の通り過ぎ方だと単なる移動距離、目的地までの通過路ですが、一緒に歩く人の視点と語りがあるだけでこんなにまで見える世界と時間の流れが変わるんだと感動を覚えましたので下記内容の(かなり私的な)備忘録をしたためます。
時間に遅れがちな私の設定ではいつも「最短ルート」「歩く速度:かなり早め」で設定しているGo●gleマップに、「50 m右方向です!右です!」と言われるだけの道のその角に、通り過ぎるにはあまりに勿体ない深い深い時間の流れや人の手がかかわったモノがその場所にあったことを今日知りました。少し路地に入ると慰霊碑やちいさな額縁屋さんや前衛的な中古車販売店があったりするディープな町をこんなに短時間で歩けることは、調べても調べても、ルート検索には出てきません。
ポイントの説明を聞きながら、自分でもまちを新しく感じていくこの雰囲気、何かに似ているなと思って猛暑の中考え込んでいると、「日常にあるものを異化する、ということはまさにアートですよね」そんなことをgift_の池田さんがおっしゃっていて、ああそうだ、美術館をキュレーターと回って、作品について詳細聞くこの感じ、まさにちょっと贅沢めなアートの体験だな、と感じました。

もはやまちあるきの名キュレーター、イワタさんがこれまで調べてきたことやプロジェクトの中で深めていった歴史を随所随所でお話くださいながら、新旧のプロジェクトメンバー(一番新しい方で一昨日のオープンミーティングの方など)と歩きながら辿っていきました。今日はTreck Treckのイトウさんと、柿の木プロジェクトの吉武さん、峯岸さんも参加でいらっしゃっていたので、さらにディープなものとなりました。
Treck Treck は訪日外国人をメインターゲットに深川エリアをご近所巡り感覚でツアーするというコンダクターサービスを提供されているので、外国人に話すときはここが意外なご紹介ポイントなんですよ、など外国人の目線での日本の路地や町についての視点もあり面白かったです。どんなポイントなのかはぜひ参加した時に聞いてみてください。日本だけにしかない路地の特徴、私は初めて知りました。また、柿の木プロジェクトの皆様は、奇跡的に生き残った「被曝柿の木」の2世を世界に植樹するこころみをされており、今日の道すがらにあった戦禍で焼かれて枯れたまま苔むした榎稲荷神社のご神木の地域の在り方と共鳴し、出会うべくして出会ったプロジェクトの合流接点となったことをひとり非常に感激していました。
この二つのプロジェクトからのプログラムは、本と川と街の会期中に皆様が参加できる形でお披露目されますのでお楽しみに!

他にもここいいね、というビューポイントやみんなスマホを構えるポイントがだいたい似通っていた点も面白いなと思いました。廃墟やガレージや古民家に手を入れた変わった建物 。普通に通り過ぎかねない場所にスマホのカメラを向けるポイントは決してメジャーな観光雑誌や万人受けするインスタ映え、ではないかもしれませんが歴史や人の手触り心地を残す、たしかにカッコイイ、アートなワンショットで、ちょっと尖った感性を、ゆるく共有できる皆さんが愛しくてなりませんでした。

13時に菊川駅集合して15時前後で解散だったので賞味2時間でしたが、そんな時間軸じゃなかったくらい深い時間の過ごし方をしました。長崎や外国や新潟や、戦前だったり宇宙だったりコロナ禍で時間軸変わったよね、という雑談だったりキャプションだったりいろいろイメージしながら話したのでイメージの中で何年か過ぎた感じです。ギャラリー「無人島プロダクション」で浦島太郎の宇宙旅行、を見たこともありそれが時間間隔を著しく(いい意味で)混乱させたこと請け合いです。ちなみに脳はイメージと現実を区別できない、という科学的データがあるという学説があり私はそれを心から信じている派です。だから今日私は戦後から今までの時間と、または時が止まった一瞬や永遠の時間を実際にまちあるきで体験したのでとてもいい疲労感でよく眠れそうです。おやすみなさい。

(寝言:ボランティア説明会随時開催しています。今日は高校生~大学生の皆様の応募が多くてとてもうれしかったです。これで年齢幅が16歳~63歳(推定)となりだいぶ幅のある交流となりそうでこれからも楽しみです。まちあるき、皆様ご興味あればぜひボランティア説明会に参加してみてください。)

中村書。

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