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アートプロジェクトで時間のレイヤーを重ね、過去から未来に想いを馳せる

【現代美術館発-清澄白河-森下コース】 本と川と街 2021
アートプロジェクトで時間のレイヤーを重ね、過去から未来に想いを馳せる

取材・文・撮影:佐藤久美

各作品の開催日時は、HPやパスポートブックでご確認ください。パスポートブック(¥1,600)は作品の鑑賞に必要だったり、有料プログラムの割引が受けられたり、オンラインプログラムを楽しめたりといった様々な特典があります。街を巡るMAPの他、コンセプトブックやプログラムブックが同封された、手作りで製本されたアートブックです。

コース近隣のパスポートブック販売所:現代美術館ミュージアムショップNADiff(11/13より)、books&cafeドレッドノートLYURO東京清澄gift_lab、The Bee's Knees、BOOKSりんご屋、Domingo House、いいね森下

アトリエタキグチ

 現代美術館を出て三つ目通りを渡り、通りを一本入ると、かつての木材屋そしてその後の木材屋社員寮を思わせる、アトリエタキグチの大きな建物が見えます。(開場は週末のみ)

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24. KUMADE|マリンフレンズプロジェクト、いいね森下
入口には手作りの熊手が飾られています。新潟県糸魚川市から参加する「マリンフレンズプロジェクト」による熊手は海洋ごみで制作され、海洋資源を守るメッセージがこめられています。

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19. citea house|建築家 鎌松亮+茶道家 武井宗道+アトリエオーナー瀧口宇一郎
 材木を茶室に見立てた空間で、お茶をいただくことができます(茶会11/20(土)、21(日)要予約)。材木問屋がひしめく地図はほんの50年前の風景であり、茶室は未来を空想する入口です。(入場料¥800、パスポート割引¥500、茶室制作に参加した方は無料)

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18. ネオ歩荷|あいくま (¥200、パスポートブック提示で無料)
 歩荷(ぼっか)はあらゆるものを運ぶ便利屋でしたが、アーティストが新潟県小滝地区で過ごした日々は、荷物以外に受け取ったものも多く、だからタイトルはネオ歩荷。活動のインスタレーションが、歩荷の街道を実際に歩んだ音声とともに展示されています。あいくまさんは、現在新潟から本所・深川に歩いて向かっており、会期中のどこかで到着されるそうです。

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 アトリエタキグチを出て左に進み、すぐの通りを左に曲がると、清澄白河に続く道です。
右側にはHAGAN ORGANIC COFFEE、オールプレスエスプレッソ東京など人気のロースターやカフェが続き、左側にはアンドーギャラリーがあります。福富川公園を突っ切る橋の両側には、紅葉や水辺の眺めも楽しめます。(平野二丁目の交差点を左に曲がると、パスポートブックが購入できるbooks&café ドレッドノートがあります)
 まっすぐ進み、右側にワイン屋Quec‘est beou(ガゼボ)、アライズコーヒー ロースターズ、左側にFukadaso Caféを過ぎてから、清澄通りにつきます。
 清澄通りを渡り、清澄庭園沿いに左に進むと、深川図書館に続く公園に入ります。

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深川図書館

22. 水彩|水災 江東区の水辺に親しむ会
 水彩|水災は水災を考える提案型アートプロジェクトです。深川資料館通りをはじめ各所に見られますが、深川図書館の1階では、写真も展示されています。水災にあった当時の写真は、もしも自分の身に起こったらという想像をかきたてます。

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LYURO東京清澄

13. Layered 2021_Visionary(選書展示<読書室>)|gift_(池田史子+後藤寿和)
 1階LYURO GALLERYでは、10組のクリエイターに選ばれた本が展示され、手に取ってロビーで読むことができます。2020年にスタートした‘現在を選書と対話で記憶するプロジェクト‘Layeredの2021年のキーワードは”Visionary”(見る力)。「本」をその時の記憶としてレイヤーしていく(重ねていく)継続的なプロジェクトです。どのクリエイターがなんの本を選んだかは、会場に行くか、オンライントーク(パスポートブック特典)でお楽しみください。

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3. 水辺の図書館|東京都公園協会、いいね森下 (清澄白河は11/18,19のみ)
 11/18,19には、LYURO東京清澄のかわてらす下に、水辺の図書館がやってきます。隅田川近くに住むこどもたちや、アーティストの描いたレジャーシートで、ゆっくり、ゆったりした読書タイムを楽しんでください。レジャーシートすべてが素敵で、本を読む前にアート鑑賞に浸りました。

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gift_lab

12. カキノキ⇄ギフト|「時の蘇生・柿の木プロジェクト」実行委員会(¥200、18歳未満の学生・子供は無料、パスポートブック提示で無料)
 先ほど訪れた13、Layered2021_Visionaryの参加アーティストであるgift_(池田史子+後藤寿和)の拠点gift_labは、「柿の木プロジェクト」の世界で埋め尽くされています。1945年の原子爆弾投下で生き延びた柿の木二世を植樹するというプロジェクトは、1996年に発足しました。発起人であるアーティスト 宮島達男さんと、gift_のお二人のトークセッション映像は必見です。池田さんの今年のキュレーションのテーマは、‘Think Peace’。柿の木に託された鎮魂の念が、Layeredの記憶に重なり、次の会場の10.  3.11から10年。日本の目覚めへとつながります。

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The Bees' Knees 

(¥400、1階・2階の2プログラム。パスポートブック提示で無料)

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10.  3.11から10年。日本の目覚め|The 10th FUKUSHIMA, Nippon AWAKES
 1階の右側は、写真と映像、オブジェと書籍によるインスタレーションです。3.11以降、放射能測定にアートを見出し、福島で「ビオクラシー(生命主義)を掲げた平井有太さんの作品が中央に置かれています。現地の人から何度も語られたという言葉が、影で表現された迫力の作品です。色鮮やかで美しい中筋純さんの写真は、福島原発事故の当地で撮影されたのでした。今年しかない10年目だからこそ、立ち止まって考える機会を与えてくれる展示でした。

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9. 街暦|Ari no Mi Project(襟草 丁+松本 力)
 1階の左側から2階にあがると、いつもはアーティストインレジデンスの部屋が展示会場に変わっています(階段上で靴を脱ぎます)。表現家 襟草さんと、映像作家 松本さんが「無」について考えるアートユニットは、本所・深川を訪れて撮った写真と言葉の「往復写簡」を展示しています。会場の展示だけでなく、HPの掲載作品もじっくり見てほしいと思います。

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9. 街暦は11月14日(日)まで。次の週末11月20日(土)からは、11. Music For The StoryⅡ | Yutaka Ishimatsuがはじまります。

いいね森下


 「本と川と街」発起人/実行委員長のイワタマサヨシさんの拠点です。23. すき間の図書館24. KUMADEの展示会場で、パスポートブックや「川の街のトラベロ―グ 旅のセット」も販売しています。基本的に土日祝はオープンしていますが、イワタさんが隅田川マルシェ(共催|いいね森下)に行くため11/20(土)、27(土)は閉館していますのでご注意ください。※隅田川マルシェ|11/20(土)清洲橋、27(土)浅草花川戸にて開催

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 万が一ここまで来て閉館だった場合、気を落とさずMAPに記載されている隅田川沿いのスポットに足を延ばしましょう。
芭蕉記念館、芭蕉稲荷神社、萬年橋は「川の街のトラベロ―グ」あしあとスポット。トラベローグ(旅行記)とは、荒れ地(仮)のメンバー3名が、本所・深川をリサーチ(まちあるき)する中で書き記されたテキストです。芭蕉稲荷神社は、荒れ地(仮)たかすかさんのトラベローグにかかれており、「旅のセット」の「茶色の封筒」に入っています。現地の赤いポストはぜひ開けてみてください。荒れ地(仮)が着想を得て、川の街のトラベローグにつながった大切な場所です。

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 オリジナルサコッシュやトラベローグ、あしあとスポットのマップが入った「旅のセット(1,200円)」は荒れ地(仮)オンラインショップや、以下のスポットで購入できます|BOOKSりんご屋・いいね森下・gift_lab。販売所では、パスポートブックを持っている方は割引価格1,000円で購入できます。

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Domingo House


7. 堀の記憶Ⅱ 五間堀篇|旧水路ラボ (¥200、パスポートブック提示で無料)
森下公園北のDomingo House1階では、五間堀の探索体験(資料をもらって自分で五間堀付近をあるいて謎解きができる)、展示鑑賞ができます。旧水路ラボ 中村さんに会えたらあなたはラッキー。五間堀についてのあらゆる質問に即答いただき、スライド写真の年代もよどみなく解説いただきました。「なぜ45度の道が街中に走っているのか」という問いが解け、すっきり。お土産の古地図は、当時のぼやけた地図をAIを用いて再現したここでしか手に入らないものです。堀の石垣展示のテキストも印刷ではなく、一文字一文字切り抜かれたステッカーが貼られており、中村さんのこだわりが髄所にみられました。11月23日(には中村さんと巡る五間堀の現地観察会(要予約。¥1,000)が予定されています。

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9つのスポットと13の作品、合わせて22の見どころをご紹介しました。本と川と街は他にもたくさんのMust Goの会場があります。ぜひパスポートブックを片手に街を巡ってみてください。

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