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Anker製の3Dプリンター、AnkerMake M5Cでフィラメントが詰まった話

IKEAのキャンドルが最も輝いた日

これは一体何をしている図だろうか。分かる人には分かる図かもしれない。公式からは決して推奨されない方法であろうし、詳しい人から見ても非推奨なのかもしれないが、私にとってはこれが最終手段であった。

遡ること4日前

5万円を切る価格で登場したAnker製の噂の3Dプリンタをポチるのに躊躇いは特になかった。程なくして約10kgの箱が届き、初日はドキドキワクワクしながらアプリのライブラリからモデルを選び、出力して楽しんだ。とても使いやすいアプリであり、さすがAnkerである。

翌朝に勇ましく登場していた完全無欠のドラゴン

初心者の私は、まずは3Dプリンタに慣れることから。関節がカシャカシャと動くドラゴンの造形により、1kgのフィラメントのうち約200g程度が消費されたらしい。1kgが約2,000円程度のため、約400円のドラゴンである。出力時間は確か4~5時間ほど。駆動音に関しては掃除機より少し静かな程度、という噂をAmazonのレビューで目にしていたが、実際はもっと静かであり、寝室に置いても私は寝れると思う。「サーッ」という、一昔前のややうるさめなデスクトップPC程度のものである。

まだまだ練習して、慣れていきたい。

次に登場した頭蓋骨。足が一本ない。

中二病チョイスの二作目は、真っ黒な蜘蛛のようなドクロ。これも関節ががしゃがしゃ動いてすごい。しかし、足が一本関節から途切れた状態で生まれてきてしまった。

さて、このあたりから不具合が気になりだした。ホットエンドからの出力が怪しくなってきたり、プレートから浮いてしまったり。3Dプリンタも中々簡単ではないことを知る。

アプリのライブラリからの出力は、モデルの土台がしっかりしているため比較的失敗しづらい

フィラメントを出しては止め、お好み焼きのコテでホカホカなプレート(65℃)をこそぎ、の繰り返しが増えてくる。出力されたフィラメントが中々プレートに固定されず、中空に浮いてしまったりする。しかしこれは設定や土台、モデル形状の問題である。しかし、そのうちホットエンド部分からの出が悪くなってきた。

2日目の夜、ついにはフィラメントが出てこなくなってしまった。
何か悪いことでもしたのだろうか。温度は200℃を守っているし、特に思い当たるフシもない。WindowsからもAndoirdからも、ソフト的には打つ手無しである。

調べてみると、分解によるメンテナンスを紹介しているAnker公式の記事を見つけた。どうやら3Dプリンタは分解によるメンテナンスが基本らしい。同梱されていた分解用のキットが早速出番となる。中々敷居が高くなったが、いざ公式通りにエクストルーダー(出力するために左右に動く筐体の部分)を取り外し、分解していく事となった。

最終的に全てを分解した図

分解を進めていき、全てをバラした図が上の写真である。赤い2本線を含むパーツ部分がヒートシンク+ホットエンドの、最深部のコアな部分であり、フィラメントはここを通って最終的に200℃程度に熱せられ出力されていく。

難しい部分として、左下にある5本セットのレンチの最も細い1.5mmのものが貧弱すぎたことである。ここまで細いと材質的に仕方ないのかもしれない。どうにもならなかったネジも多数。締め付けが固すぎるものもあったので難しいところである。

中々メカニカルであるが、勇気を出して進む。
公式の「白い部分を指でつかんで抜く」は物理的に無理がある。ピンセットでも無理である。
この上部の歯車の部分(フィラメントを下に押し出すモジュール)にフィラメントが入っていれば楽だったが、結局ここにはなかった。
押し出し用のモジュールの箱は、一度開けると戻すのが少し面倒くさいパンドラの箱である。二回目以降は開ける気が起きない。
結局、フィラメントはこの中で冷え固まっていた。

問題のフィラメントを発見した。ここまで来るのにそこそこ時間を費やしたが、あとはこれを何とかして押し出して、救い出すだけである。

とはいうものの、冷え固まりヒートシンクと完全に癒着したプラスチックはビクともしない。ホットエンドを付属の工具で外し(これもプラスチックと癒着していてとても固かった)、あとはヒートシンクからノズルの先までをフィラメントで貫通させることがゴールとなる。

押してもだめ。引くにも摘めるものもない。そこで唯一残された手段が、1.5mmレンチの中間をを熱してアツアツにして、先端まで熱伝導させることでフィラメント(プラスチック)を溶かしながら押し出す作戦であり、それが冒頭の写真となる。

熱しては抜いて拭き、熱しては抜いて拭き、を繰り返した

エクストルーダーにわずかに傾斜をつけてみた。キャンドルの炎でヒートシンク内のプラスチックが徐々に融解していき、自然な傾斜でゆるやかにキャンドルに流れ込み、しばらく放置していたらあら不思議、中が完全な空洞に・・・というようにはならなかった。

ただ、中々これがうまくいき、腕力も必要であったが完全に中を空洞にすることができた。1.5mmレンチもスポスポ、1.75mmのフィラメントも結構スポスポ。しかも30分~1時間程度で。やったね!

その後

分解したものを全て組み立て、起動し、押し出し、引き出し。ときに温度を上げてみて。出てもまた詰まってしまったりして、結局1日のうちで4-5回同じ流れを繰り返した。M5Cの組み立ても大分慣れてきた。

結局何かしらこの個体に問題があるのではと考え、Ankerのサポートに連絡をしてみたところ、見てくれることになった。外箱は捨ててしまったが、エクストルーダーのみ交換してくれることになった。

正直心が折れてしまったが、それだけ精密な製品なのも分解しながら理解した。ものづくりに携わる視点を常に持っておきたいため、単純な製品やメーカーの批判は避けたい気がする。

この製品はメンテナンス製が高いといえるのだろうか、3Dプリンタに詳しい方がいれば、是非お話をお伺いしたい。


似たような悩みのある方がいらっしゃれば、コメントやいいねなど頂けると嬉しいです!最後までお読み頂きありがとうございました。


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