ホームレス記事炎上と編集や表現について

たまたま炎上しているという話を見かけたこと、noteを使っていることもあって少しばかり触れてみたくなったので書きます。

前提条件を整理しておきましょうか

さて、炎上元は以下のホームレスに関する記事になります。

cakesの連載記事としてホームレスの人々がさまざまな物を「作る」ことに焦点を当てた記事を書くものの第一回目の記事みたいです。cakesクリエイターコンテスト優秀賞を取った記事を連載にするということで優秀賞を取った記事の内容に限らずホームレス生活における「作る」という行為について他の内容について書いていくものなのでしょうかね。

優秀賞を受賞した記事が上記のもののようで、ホームレスのおじさん達が作る料理に焦点を当てた内容の記事だったみたいです。

私が最初に読んで感じたこと

最初に前提条件を整理したのは自分自身が話題となっていた記事を読んだ時に「作る」ことに焦点を当てた記事の割には該当部分の記述が薄いなと感じたからです。

自分たちがなぜホームレスのおじさん達と交流をしているのか、そして交流するまでの経緯が中心であり、交流する前に持っていたホームレスへの印象と実際に会ってからの印象変化部分で少し触れている程度だったのが気になりました。

該当記事だけを見てしまうと確かに「ホームレス」を物珍しい存在として捉えていて、興味関心からキャッキャと押しかけて相手のことも考えない見物人的な印象を持って文章を捉える人もいるのだろうなと感じます。

これから始まる話の前置きだと示せればよかったかも

連載記事の第一回目であり、これから(第二回目から)始まるホームレスのおじさん達が持つ知恵や工夫により作られるさまざまな物に興味を持って貰う方向での心境変化やそれを匂わすようないい意味での違和感なんかを記述するような内容だった方がよかったのかもしれませんね。

おじさんが不法投棄物から見つけて来た代物に対して、きれいにして、色も塗り替えて、使いやすいように作り変えるスキルがあったことに心底驚いたが、そもそもきれいさや使いやすさにこだわるような人たちではないと思い込んでいたところもあった。

例えば上記の部分はホームレスの人々にとってとても重要な交通手段である自転車に対して自分たちの想像していた以上に工夫を凝らしていたり、メンテナンスをしていたりするのに驚いた内容の一部です。

引用した部分とは別のところにその工夫に関する一端が記載されているのですが(以下引用を参照)、そこにある知恵やノウハウなどを強調する形での心境変化や感嘆を述べれば読者の興味関心が向かったのだろうなと思ってしまいます。

「そもそもそのような工夫をしているとは思っていなかった」ことに驚いたという心境変化を示すことで「工夫をしていること」への興味関心を持ってもらいたかったのかな、とは思いますけどね。

自転車の荷台にはプラスチックボックスのようなものが取り付けられていて、多少の雨が降ってもなかに入れたものは守れる仕組みになっている。
フレームもしっかりと色が塗り替えられて、おじさん専用にカスタマイズされている。

正直、私自身は「見下している」とまで感じはしませんでしたが、

きれいさや使いやすさにこだわるような人たちではない

このような表現をしてしまうと「見下している」と捉える人が出てしまうのも仕方ないことなのかもしれません。そういう意味では、せっかく面白そうな話が次に出てくるであろうことが想像できるにも関わらず、まったく意図していなかった方面から批判を受けるようになったのはもったいなかったですね。

自身の経験を発信することと最低限の規制

偉そうに評論っぽいことを書いたので「お前何様だ?」と思われそうですが、こういう内容も含めて自分自身がどのように感じ、考えたのかを外に向かって発信できるのがnoteをはじめとするブログやSNSの良さだと私は考えています。

今回対象となっている記事はcakesというnote社が運営管理する媒体の連載記事なので一般的なブログ記事などと比較することがおかしいという考え方も確かにあるでしょう。cakes運営が炎上しないように表現方法や内容に口を出せば良かったのかもしれません。

実際、cakes運営がどのような役割を担い、どこまで口を出していたのかは知らないので適当なことは言えませんが、作者の正直な心境変化を記述することを良しとしたのであればそれはそれでクリエイターを尊重したのでしょう。あくまでもnote上で活動するクリエイターを見つけてもらうことを支援したいのであって、表現活動に口を出したいわけではないでしょうからね。
※当然誹謗中傷であったり、差別的な発言などは規制しますが。

まぁ、今回は「差別的」だと燃えているようなので「規制対象だ!」という考え方を持つ人が批判されているのでしょうが…

何を持って「差別だ」となるのかについては線引きが難しいですから、万人が納得する解決策としてはマイナス的な表現を一掃するしかないのかなぁ…

「炎上させない」ことと「正直な表現」

ちなみに、私がcakesの編集担当者であれば上で述べたようにもっと「作る」行為へ読者が興味を持つ方向の内容や心境変化を中心に書いた方が良いと伝えるのではないかと思います。

私自身は別に編集者の仕事をしているわけではないのですが、出版物の記事内容のチェックや表現方法の変更、見せ方に関するアドバイスなどをする機会を仕事の中で持つ機会が多かったので実際に該当記事を読んだ時にいろいろと気になることがありました。商業出版物を扱う機会が多かったのであまり変な印象を持たれて自分たちが「損してしまう」ことを避けたい気持ちが強かったため、「表現変えた方がいいな」と感じたということです。

今回の記事については、(繰り返しになりますが)企業が提供するコンテンツサイトであるcakes連載記事として見るのか、作者のコンテンツとして見るのかで評価が変わるのかなと思います。

企業コンテンツとして見た場合は「炎上させない」気配りをした方が良かっただろうという見方になります。一方、作者のコンテンツとして見た場合は作者の「正直な表現」を読者に届けるのが正しかったのだろうという見方をします。

どちらにしても、第二回目以降の具体的な「作る」行為に焦点があたった記事が本当に見せたい記事でしょうから、もしかしたら第一回目の記事は非公開にするとかって対応をするのかもしれませんが、是非続きを出して欲しいですね。

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