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成功する海外研修とは?今振り返る【深圳イノベーション研修】

はじめに
なぜ深圳が選ばれたか
視察と研修の違い-
日中双方向の学びの機会
今後のありよう
結びに

はじめに

【日本人の内籠り】や【若手層の内向き志向】、こういった問題は2010年代以降、人を育てる教育機関、さらに人を活用する企業などで問題として取り上げられ続けていました。                      私自身は日本人のグローバル問題については意見を持っていません。   
ですが2018年から御縁により中国現地から深圳イノベーションツアー遠提供させて頂きました.お陰様で,海外研修が人を変えるかを目の当たりにしました。

一部のメディアからは【深圳イノベーションツアー】についてですが、辛口な評価が下されました。今回【海外研修事業】という視点で、再分析をさせていただきます。

(最初期の【深圳イノベーションツアー】)

深圳ツアーがなぜ生まれたか

日本での海外研修といえば、従来は英語圏の国での語学研修を中心でした。海外ビジネスの最前線に触れる、英語力の実践強化というテーマでグローバル人材の育成を中心に、企業内での人材教育の一環が主目的でした。

その海外研修の中で、中華圏-特に深圳が加わることになったのは2017年頃だったでしょうか?当時から私は深圳でコンサルタントをしていましたが、なぜ深圳が選ばれたが改めて分析させていただきました。

①急成長都市というわかりやすい印象-数年間で大成長した都市?

(深圳以外にも急成長した都市は、中国に数多くある)

ご存じのように深圳市は中国改革開放、1978年から設立された都市です。、40年間をかけて成長した都市の一つであり、中国国内ではそれだけで特別視はされていませんでした。同様の巨大都市は中国に複数あったからです。

日本側から見ると、状況は大きく変わります。もともと日本のメディアは中国のことをひとまとめに語りがちですし、せいぜい取り上げるのは深圳の隣の香港です。深圳なんてどこのメディアも報道していませんでした。中国イノベーションの一環で深圳が取り上げられ始めると、日本側からはまるで深圳がこの2-3年で急速に発展したように見えたのでしょう。

②日本からのアクセスのしやすさ-香港からすぐ行ける位置

(香港という絶好のハブ空港に深圳は近接している)

わずか4時間半で行ける異世界。これが日本側にとっての深圳ツアーの魅力ともいえるでしょう。深圳市自体は国際便が発達しているわけではありませんが、お隣の香港は世界屈指のアクセスのしやすさです。        これが黒竜江省とか四川省だったら、注目度も大きく変わったでしょう。

③微妙なわかりづらさ-現地で初めて知れる実態

基本中華圏の情報を日本人が一次情報で得ることは、中国語という言葉の関係上難しいです。そもそも英語の文献や報道を読む人は少ないですし、中国語→英語→日本語という翻訳リレーの際に多くの情報が欠落します。

(英語媒体や外国語媒体を通してだと現地の実情はつかみづらくなっている)

加えて中国関係の情報は従来は政治や文化関係で、イノベーションとかスタートアップという観点で中国を紹介する媒体は少なかったといえます

よく「深圳ツアーや勉強会をやっているのは日本人だけだ」と語られていますが、そんなことはありません。私がかかわらせていただいた中にも、韓国人、ドイツ人、インド人の深圳訪問団体があります。【アクセスのしやすさ】というのは日本と韓国、ASEANのみに当てはまりますが、世界中から深圳ツアーはやってきていました。 

(学生、社会人、起業家、様々な方が深圳へ学びに来られました)

【圧倒的な驚き】【アクセスのしやすさ】【現地で伝わる臨場感】、これによって海外研修コンテンツとしての価値が生まれたのだと思います。

【日本型視察への批判】は正しいのか?

深圳、ひいては中国で何が起こっているかを真剣に学ぶために多くの方がやってきました。その一方で「意味のない視察」「お勉強会」と揶揄するメディアも日本では多かったと聞いています。               ですがそもそも「視察」と「研修」を明確に分けて考えていた方がどれだけいたのでしょうか?

実りのない海外視察を繰り返す日本企業と揶揄されていますが、私をはじめとする多くの深圳スタデイツアーの目的は引き受けてきたのは【海外研修事業】つまりは【参加者の学びの機会】の創出です。

(日本のメディアでも上記の記事をはじめ、様々な意見が出ていましたね)

ビジネスとしての成果が上がらないと様々なメディアで報道されていましたが、海外研修の目的は新しい取引先や新技術を海外で見つけることではありません。それを理解しない報道が日本で多くされたのは残念なことです。

(現地の企業との意見交換会。日中双方で学び得るものがあった)

海外研修と海外視察を混同した問題は、深圳現地側にも問題があったと思います。中国企業へ訪問させていただくとき、中国企業は具体的なビジネスを想定して準備します。そのため、日本側から具体的な提案等がないのを訝しがりました。中国側に意図をきちんと理解していただくのは、難しいことも多々あったでしょう。

より良い学びの場作り

【海外という学びの場所】、【海外研修という目的の理解】、この土台に加えて【参加者を意識したプログラム作り】が必要になってきます。    
深圳現地でも起業エリアの訪問や、現地ビジネスマンとの交流会などの各種プログラムをもうけさせていただきましたが、このプログラムには課題もありました。                             

どうしても中国語通訳が入るために、交流や学びが受け身にならざるを得ないということです。私も実際に中国語↔日本語の通訳をしましたが苦労しました。                               受け身にならない学びを作るためには様々な工夫が必要です。訪問先の中国企業からの質問の引き出しや、参加者同士の議論の推進など、自発的に学び考えられる場づくりのために、様々な工夫を取らせていただきました。
海外研修においては難関は、非日常な環境にありながら日常以上に考える機会を設けることだと思います。

(考えあえる場づくりが、能動的な学びを生み出す)

今後の深圳ツアーの在り方

私や様々な組織団体が携わっていた【深圳イノベーション研修】ですが、2020年以降は性質が変わってくるでしょう。

①プログラム内容の進化

中国のイノベーションや新技術に関する基本事項はすでに日本でも認知が進みました。そのため今後はより一層具体的な研修が主流になるでしょうし、【中国の起業家イベントへの参加】、【デジタルマーケティングへの考察】、【スマートシテイ開発事例】など参加者自身が主体的に行動するプログラムになるはずです。

②中国側の環境変化

中国の起業ブームは2012年から始まっており、17年にはすでにピークを迎えました。もちろん日本とは異なったイノベーションやビジネス環境は今後も変化し続けるのでしょうが、徐々に成熟環境になりつつあります。成熟環境でいかに日本側での学びにつなげるかどうかがカギになるでしょう。

③オンライン研修の発達

コロナウィルス騒動後、日中でオンライン学習やオンライン研修が発達していきました。以前は中国に実際に足を運んだ【海外研修】も、今後は画面越しに日本で行うオンライン研修が主流になるかもしれません。

結びに

深圳での海外研修という思わぬ形でしたが、人づくりや人材育成という機会に携われたのは、私にとって貴重な経験だったともいます。
成功する海外研修の枠組みは深圳問わず、様々な地域でも当てはまることでしょう。今後も中国発のコンテンツプログラムを通して、価値を創出をライフワークに位置付けたいと思います。

(青春の思い出を、異国の地で味わえました)

筆者連絡先
FB:https://www.facebook.com/profile.php?id=100004295732853
Wechat ID:YUKIKATOU888
・加藤 勇樹(余樹) 2015年より、広州・深セン・香港で人材紹介‐企業へのコンサルタントサービスを展開。17年より中国・大湾区の動向やイノベーションアクセラレーターとの協業で活躍

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