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俺たちがヒーローだ!目指すはウルトラマン?【中華圏特撮作品の歴史】

はじめに 

中国最古の特撮作品とは

子供向け特撮作品の誕生?「中国超人」と「閃電騎士V3」、「関公大戦  外星人 戦神」

幻に終わった作品「変身戦士阿龍」

中国本土の初代戦隊ヒーロ「火力少年王‐BLAZING TEENS」

禁断の実写化!中華圏特撮魔法少女

僕たちのヒーローは永遠!「巨神遊撃隊‐Giant god fight attack team」

そして物語は続いていく

はじめに

ゴジラ、仮面ライダー、戦隊シリーズ、そしてウルトラマン。日本で花開いた文化といえる「特撮作品」は、お隣の中国でも愛されています。

特に2020年は中国ECサイト「タオバオ‐淘宝」で、2億回以上ウルトラマンの商品検索が記録されており、2020年現在でもその人気の高さが再認識されました。https://www.bilibili.com/read/cv8939457

(中国語ではウルトラマンは、「奥特曼」と翻訳されている)

ウルトラマンに限れば平成シリーズが中国で放映されるようになってから、その人気が高まりました。では中国に特撮ヒーロはいるのでしょうか?  

文化的な意味でも創作的な意味でも、特撮ヒーロという文化は中国で独自進化の可能性があるのでしょうか?今回は子供と大人の永遠のあこがれ「特撮作品」について、まとめてみました。

中国最古の特撮作品

1968年日本で「ウルトラQ」、のちのウルトラマンにつながる偉大な特撮シリーズの第一弾が産声上げました。それとほぼ同時期、台湾で中華圏初となる特撮作品である「神龍飛俠‐Dragon Superman」が撮影されます。闽南語という、台湾や福建省地域の方言で撮影された同映画は、ヒーローや怪獣が出てくる特撮とは少し趣が異なります。

仙力を得た主人公が、街に潜む悪と戦うという同作品は、大人向けの少し暗い雰囲気の映画です。 

(台湾での上映が中心で、中国本土ではほとんど注目されずに終わった)

子供向けではなく大人向けの同作品で、男のダンディズムや悲哀が漂う作品で、バットマンと同じ雰囲気が漂います。特殊効果や超自然的な力が設定に登場するという意味では、中華特撮作品の始祖といってもいいかもしれません。同作品はその後3作品とシリーズ化され制作されました。

子供向け特撮作品の誕生?「中国超人」と「閃電騎士V3」、「関公大戦  外星人 戦神」

大人向けの作品として生まれた、中華特撮作品。台湾の次には、香港が特撮作品を世に出し始めます。1975年、仮面ライダーシリーズが人気を博し、日本初の戦隊シリーズが誕生したころ、「中国超人The Super Inframan」が正統派特撮作品として産声を上げます。

(香港地区での作品であったため、広東語の音声。香港人俳優だけではなく、香港映画に出演していた欧米人も登場している)

古代からよみがえった怪人や怪獣と戦うために、主人公がヒーローにh源信して戦う王道作品といっていいでしょう。日本のヒーローものと同じなのか、敵の女幹部がセクシーですね。

(豆瓣という映画評価サイト内での作品評価は残念ながら非常に辛辣でしたが(´;ω;`)

さて一方の台湾。仮面ライダー作品「閃電騎士V3」が同年1975年に制作されます。この作品は日本の東映社と共同制作であり、仮面ライダーV3を下敷きに、劇場版として撮影されました。

(仮面ライダー1号2号が登場するが、敵組織はデストロン)

この台湾版仮面ライダーですが、なんと女性が変身する仮面ライダーが登場します。日本の仮面ライダーに先駆けること約30年、ウーマンライダーといえるでしょうか?

(惜しむらくは90分と作品自体が短いこと)

等身大のヒーローものだけでは、特撮は物足りません。やはりゴジラのような怪獣物がみてみたい!その期待に応えたのが1976年の作品「関公大戦  外星人 戦神」、台湾映画が大胆な挑戦に挑みました!

(どこかで見た事のある顔と同じ巨人?)

恐れ多くも中華圏の大英雄である関羽さん「関帝聖侯」の木像が、科学の力と神秘の力で合体+巨大化し、地球に攻めてきた異星人と戦うというぶっ飛んだ作品になります。ゴジラシリーズのキングシーサー的なあれですかね?

(肉体言語で異星人とやりあう関羽さん)

子供向けの特撮が誕生した70年代の特撮ですが、その制作は香港や台湾が依然として中心でした。80年代の「鐵甲無敵瑪利亞‐I Love Maria」90年代の「百变星君‐Sixty Million Dollar Man」。
どちらも香港映画特有のコメデイと犯罪組織との闘いというエッセンスが加わった特撮作品です。中国本土の特撮作品が生まれるのは、2000年代まで待つ必要がありました。

幻に終わった作品「変身戦士阿龍」

2006年、とうとう中国本土で撮影された特撮作品「変身戦士阿龍‐urned soldier A Long」、この作品は幻となって終わります。中国本土の文化作品に必須の検閲制度で合格することが出来ず、打ち切りという形で当初予定していたシリーズ化は断念されます。

1930年代の中国農村を舞台に、異星人である主人公が友や村を守るため、宇宙からの侵略者と戦うという同作品。特撮の概念がなかった中国の検閲制度では当初アニメ作品として、許可を申請していたそうです。

中国本土の初代戦隊ヒーロー「火力少年王‐BLAZING TEENS」

中国本土での華麗なる登場に失敗した特撮作品。この挫折は「火力少年王‐BLAZING TEENS」の長期シリーズ化によって、乗り越えられます。

06年から14年まで長期にわたって放映された同作品は、ミニ四駆やハイパーヨーヨーなど当時の流行を作品内の重要な道具として採用。さらには実写版にとどまらずアニメ版を作成されるなど、現在の20代‐30代にとっては忘れられない作品といえるでしょう。

(特撮作品ではないかもしれませんが、戦隊シリーズの1種としましょう)

禁断の実写化!中華圏特撮魔法少女

中華圏の特撮はここまでは日本と同じ、戦隊シリーズ、変身ヒーロー、怪獣ものなどでした。中華圏の特撮は私たちの予想を上回り、なんと魔法少女を特撮化します。

日本の日曜朝の必見作品ですが、ふつうはアニメ作品じゃないでしょうか?「巴啦啦小魔仙」の制作スタッフに、考えを聞いてみたいものです。

(せめて少女が演じるべきだと思うのです)

きちんと補足すると、同作品は人気作品で、アニメーション作品もあります。友情努力勝利の普遍的な?作品です。

(魔法少女はこうでなくちゃいけません)

僕たちのヒーローは永遠!「巨神遊撃隊‐Giant god fight attack team」

中国本土の特撮作品の最初の傑作、それは2012年の「巨神遊撃隊‐Giant god fight attack team」だと多くの特撮ファンが答えます。戦隊ヒーロー作品に必要なチーム内の成長と葛藤、重厚な合体変身ロボ、迫力ある戦闘映像。 今でも、忘れられない子供時代のヒーロ像といえるでしょう。

(赤が熱血、青が冷静などキャラ付けは正統派です)

巨大ロボットの戦闘はCも活用しており、迫力が伝わってきます。ちなみに制作は火力少年王と同じ会社です。

(合体とドリルは男の浪漫ですね。国は違えど)

そして世代は続いていく

中華圏の特撮ヒーローが愛されていく中ですが、われらが日本の円谷プロが生み出したウルトラマンは、すでに多くの特撮ファンから愛されています。版権問題や非正規品の流通が取り出されていますが、それだけウルトラマンが愛されているあかしでもあり、熱心なファンによる二次創作や創作活動も盛んです。

(中国の子供たちに1番早くあったといえるウルトラマンティガ。放送当時の子供たちがお父さんお母さんになった今、親子2世代に愛されている)

文頭でもあるように、中国の消費社会さらにはこどもの心とウルトラマンは、固いきずなで結ばれていえます。日本の特撮作品がウルトラマンや仮面ライダー、ゴジラと愛されづづけていますが、中国の創作力は近年成長を続けています。

哪吒や葉問などの映像作品は世界でも十分に楽しめる水準ですし、中国特撮界の中からも、ウルトラマンのような世界水準の作品が生まれる日も近いはずです!

(創作は国を超え、文化を超える!中国版のゴジラの登場も近いのだろうか?)


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