見出し画像

2024年6月にクリアしたゲーム

 6月にクリアしたゲームたちです。16本。


2236 A.D.

プレイ時間:7.5時間
 テレパシーでの会話が当たり前になった時代、主人公のクラスには事情によりテレパシーが使えなくなった男子生徒と、なぜかずっとテレパシー用のゲートを閉じている女子生徒がいた――というようなところから始まるセカイ系SF恋愛? ビジュアルノベル。
 恋愛的要素は間違いなくメインテーマなんだけど、楽しくイチャイチャしているわけではないのでそれを主目的にするとなんか違ったなってなると思う。とはいえ全年齢向けの範囲で性的なシーンもあるので遊ぶ場所にはご注意。(個人的にはこういうゲームにエロいらんくない? ってずっと思ってしまう)
 ネタバレせずにこの物語を表現するのが難しいんだけど、根暗の憂鬱な生き様、AIへの葛藤、人との相性、心の弱い者のままならない恋、全知への畏怖、SF的世界観などが絶妙なバランスで調理されていたなと思う。というか話が複雑なのでネタバレするのも難しいかも。やってもらうしかない。
 序盤は主人公の性格がけっこう気にくわない感じだったんだけど、多くの人にとって受け入れがたい性格だというのを書き手もわかっている感じがしたし、キャラへの不快感が世界観の面白さでかき消されていたのがとても上手いと思った。
 エンディングは3種類。最初に到達出来るエンディングは一種類で、それを見た段階でも充分美しいエンディングだなあと満足できた。これを超える結末ってなんだろうって思ったら、トゥルーエンドでは別の角度から満足させてくれた。ブラボー。壮大に描かれたちっぽけなお話。
 好き嫌いが分かれるお話だと思うんだけど、わたしはとても好きなので出会えて良かった。


2236 A.D. Secretary Stories

プレイ時間:35分
 ひとつ前にやった2236 A.D.の前日譚(?)にあたる、主人公の持つAI秘書との日々を描いたビジュアルノベル。本編の時系列と被っているところもあるので前日譚と言い切って良いのかちょっと悩ましい。無料。
 本編でもかわいいAI秘書マスコのかわいさを堪能できる。お正月の遊びを全力で楽しむマスコかわいいよ。プレゼントした振り袖かわいいし喜んでくれてうれしいよマスコ。え? その振り袖マスコにはどう見えてるの……? そんな感じのお話。哲学的ゾンビ。短い中にも本編の良い味が盛り込まれていてよかった。


おいでませ、みなみ通りへ!

プレイ時間:2.5時間
 さびれた通りに活気を取り戻したいというタヌキの願いを叶えていく、ゆるかわ経営シミュレーション。
 タヌキも町並みもとにかくかわいい。建物は建てた順で一直線に並ぶだけなので難しい配置決めなどはない。商店に並べる商品についてはプレイヤーが設定することになり、町の人の声を聞きながら満足度の高いお店を目指していくことになる。
 難度が低いのも良き。ゆったりのんびりと商店街の雰囲気を楽しめた。


The Pedestrian

プレイ時間:3.3時間
 ピクトさんになって看板の中を駆けていくプラットフォームパズルゲーム。
 看板の中を移動するという発想がまず面白いし、看板の中に描かれたドアを通って別の看板に移ると後ろの景色も移動していくのが新鮮な演出だった。
 画面内に表示された複数の看板をどう移動すれば目的地にたどり着けるのか、逆算しながらドアやハシゴを繋げていくのが主なパズル。丁寧に考えれば素直に解けるので気持ち良い。
 中盤以降少しずつ背景も看板パズルに影響するようになってきて、それがまた面白かったな。ただ最終盤はちょっと3D酔いするぐらいだったのが酔いやすい者としては難だった。3D酔いしすぎるパートはそんなに長くないのでがんばって耐えよう。
 日本語非対応だけど、そもそもゲーム内に文章がないので安心。面白かった。


3ミニッツ・トゥ・エイト

プレイ時間:4.1時間
 記憶のないまま目覚め、24分でなぜか死んでしまう男がループから脱出するために様々な謎に触れていくADV。
 ストアページの説明を読んで、一つの大きな問題解明のために小さな謎を解いて少しずつ先を目指しながらループするゲームだと思い込んでいたんだけど、実際には小さな謎の物語をいくつも体験するゲームだった。独立したショートショートの詰め合わせみたいな。一つの物事を別の視点から見ている、というような構成でさえなかったと思う。
 何か総括的なものがあってくれ~と願い、途中からSteamガイドにある攻略のお世話にもなりつつ全実績解除までやったけど何もなかったな。
 ヒントや関連性の薄い状況で何かを探すことを楽しめる人向けの作品だったのかもしれない。わたしにはちょっと合わなかった。


たき火のそばで (Fireside)

プレイ時間:7.5時間
 乗っていた船が難破しちゃった商人が、漂着した見知らぬ土地で地域の問題を解決していくのんびりADV。
 たき火とたき火の間を移動しながらアイテムを拾い、夜は行き会った人たちとたき火を囲んで話をしたり、料理をしたり、物々交換をしたりする。
 移動中一種類のアイテムしか拾えないし、ちょっとした事情により一定期間ごとに別の空間へ転移させられてアイテムを喪失してしまうので、欲しいものを一気に揃えるということがなかなか出来ないようになっている。ゲームとして難度が高いというよりは、やることはわかるけど制限が多くてもどかしいという印象。せっかちさんには向かないゲーム。のんびり進めよう。
 翻訳は丁寧でほぼ違和感なし。(主人公の一人称だけちょっとあやしい。she/he/theyに配慮した結果だと思う)地域で起こっている人々のトラブルとじっくり穏やかに向き合って解決していく、やさしい気持ちになれる物語だった。


FixFox

プレイ時間:9.5時間
 修理ツールの禁止された奇妙な星に降り立ったスペースエンジニアと相棒の過保護ツールボックスが、こっそり色んな物を修理して回って色んなものを救っちゃうADV。
 ストアページのタグにパズルとあるけれど、頭を使う要素はほぼなかったのでパズルとしては期待しない方が良いかも。色んな物を修理はするんだけど、どれも同じような修理方法だった。見せたかったのはストーリーだったんだなあと思う。言ってしまえばご都合主義なお話なんだけど、それも含めて色んな疑問や違和感にそれぞれ解が用意されているので、Fixしてるな~って感じがした。


Lotte

プレイ時間:9分
 死ぬとハエに生まれ変わることが出来るロッテのアクションパズル。1周5分で、クリアした後色の反転した世界をもう1周すると全実績解除になる。コントローラ対応表示だけどわたしの環境では使えなかった。短いのでキーボードでもストレスはない。
 ゲームと言うよりアート。いくらなんでも短編すぎるんだけど、まあいいかって思える程度にはメッセージ性があったと思う。


Night Reverie

プレイ時間:2.5時間
 妹思いのお兄ちゃんが、家によく似た、でも家じゃないどこか不思議な場所で、妹を探すため相棒の火の玉と一緒に探索するパズルADV。
 薄暗い夜の家が舞台だけどホラーではないので安心。翻訳の質も良くて、あたたかくて優しい、でも優しすぎない独特の世界をしっかり味わえた。
 謎解きの難度は世界観の邪魔にならない程度だったのでサクサク進められた。ゲーム内ゲームでちょっと手こずったぐらい。
 主人公のキャラがすごく好きだな。優しいけど甘すぎない、不安になっても相棒のために明るさを持てる、疑念を持った時警戒しながら前に進む択を取れる、見ていて気持ちの良いキャラだった。
 短い中で綺麗にまとまった物語。赤いフードの子は多分こういう事情なんだろうな~とかクリアした後でも色々考えるのが楽しい。心に残る良いゲームだった。


Arietta of Spirits

プレイ時間:2.5時間
 亡くなったおばあちゃんの家に家族旅行してきた少女が、霊界に行けず幽界にとどまってしまっている魂の案内人になるアクションADV。
 短くさっぱりまとまっている。ストーリーの比重が大きめ。イージーモードもあるのでアクション苦手でも安心。オートセーブがマップ切り替え毎に入るので、1MAP進めて休憩、という遊び方も出来てスキマ時間にちょうど良かった。


Cave Guessers

プレイ時間:1時間(ひと盛り上がり分)
 お題を推測するパーティゲームの詰め合わせ。図形を組み合わせる、指定ワードを用意されたワードで表現する、禁止ワードを使わないで表現する、音程で表現する、などしてお題を当ててもらうゲーム。お絵かき以外で表現するお絵かきの森みたいなものかも。
 プレイ時間は一通り楽しむまでの時間。ラウンド数など変更出来るので1ゲームの時間は可変。そんなに長時間かかる物ではないと思う。ワークショップに初代ポケモンのお題があって楽しかった。もっと盛り上がって日本文化で遊べるお題が増えてくれたら嬉しいな~と密かに思っている。


Mutazione

プレイ時間:7時間
 危篤状態の祖父に会うため、彼の住む不思議な島へ一人で訪れた孫娘が、庭の手入れをしたり住民の問題を解決したりするADV。
 島の住民はミュータントが大半を占めているんだけど、見た目が違うだけで中身はとても人間らしい。……温かみのある人間らしさだけでなく、生々しくてちょっとエグい人間らしさだったと思う。言葉にされない小さな問題をいくつも感じたし、言葉にされたものでもけっこう生々しい昼ドラみたいな問題があって、絵柄から想像した絵本みたいな世界とはほど遠かったな。
 総体としてのテーマは素敵だし、翻訳がぎこちないことに目をつぶれば哲学的だったり詩的だったりするセリフ達も魅力的。簡単な庭造りも楽しかった。ただ個人的な倫理観にどうしても合わない部分もあって、世界を安心して楽しみきれなかったのがちょっと無念だったな。


Lara Croft GO

プレイ時間:5時間
 ターンベースのパズルゲーム。トゥームレイダーの世界が舞台になっているらしいけれど、トゥームレイダーやったことがないのでどんな感じで反映されてるのかは不明。
 ストアページで日本語非対応になっているけどUIは日本語で、ストーリーに文章は存在しないので問題なく遊べる。軽い頭の体操ぐらいでサクサクと進められて楽しい。ピタゴラスイッチ的な仕掛けになるところも好き。どうしてもわからないときはヒント機能(試しに使ったらヒントというか答えのルート表示だった)もあるので安心。本編後のオマケっぽいステージはちょっと難度高めだったかも。面白かった。


Ord.

プレイ時間:4時間
 真っ黒な背景に白文字で表示される単語を読み、行動を選んで進めて行くテキストADV。
 「状況」「行動」「結果」という三単語が次々表示されていく形で進行していく。行動を選んでさくさくと進める中、単語だけでも意外なほど情景が浮かんできて面白かった。色々予想外なことが起こるのも楽しい。
 物語は5種類入っている。どれも世界観が違うので同じゲームの中で色んな事を楽しめて贅沢な気持ち。各お話に実績リストが付いているので、それを埋めていくのが目標ってことになるのかな。
 個人的に好きなのは世界創造編。テキストでやるサクサクゴッドゲームって感じですごく楽しかった。難しすぎたのはファウルシングス編。限界を感じて攻略見ちゃった。見なかったらプレイ時間10時間超えていたと思う。


シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~ DX

プレイ時間:30時間
 水の涸れてしまった村からきた少女と、水の豊富なオアシスの街で育った少女が出会い、それぞれの『願い』を胸に抱きながら崩壊する世界に抗う、錬金術師達のJRPG。黄昏シリーズ3作目。
 シリーズ2作目と同じくこちらも主人公がふたりいて、ふたりともクリアするとトゥルーエンドに行ける作り。楽しかったけどやっぱり一周で満足してしまったのでシャリステラのみクリアでおしまいにした。
 黄昏シリーズの集大成ということで、これまでの主人公たちが勢揃いして、みんなで難題に立ち向かっていく様子がとってもアツかった。それと同時に、水涸れを起こしてしまった世界の様子が今までよりリアルに描かれていて怖かったな。オアシスの街を守ってきた会長さんの「金銭ではない、水の有無による貧富の差が生まれた」っていう言葉が重かった。日本に生きてると忘れがちだけど世界では今でも起こってることなんだよな~というのを、せめて忘れずにいたいよね。
 アーシャとキースグリフの組み合わせが好きだったので、ふたりのあの後の様子が見られてうれしかったな。
 進行方法はエスロジの時と似ているけれど、期限がなくなったので心ゆくまで調合しながら過ごせて良かった。チェインシステムたのしい。音楽も相変わらず素晴らしかった。黄昏シリーズぜんぶ楽しめてよかった~。


海鳥野ガクの精神鑑定録

プレイ時間:45分
 精神科医の主人公が、母親を刺したということでやってきた青年・海鳥野ガクの担当医となったところから始まるクトゥルフホラーADV。なんと無料。
 わたしはクトゥルフ神話のことはあまり知らないんだけど、主人公も神話生物とか知らない人で、どこまでも現実問題として解決しようとしていたので同じ目線で楽しめてよかった。知ってる人だと序盤の情報で特定して俯瞰できるのかも……わかんないけど。
 短い作品なのでネタバレを避けるためあまり踏み込んだことを言えないんだけど、なんていうか、関係性がよかったなあと思っている。
 サクッと進められながらもちゃんとゾクゾクするシーンもあり、サクサク殺される展開もあり(死んだ時は直前の選択肢からやり直せる親切設計)、短い中に楽しさがばっちり詰まっていた。


おわりに

 今月の刺さる人のところにもっと届いてくれゲームはNight Reverie。6月9日に日本語対応されたんだけど、翻訳の質は良いし、このお話が好き! って人がきっといるだろうゲームだなあと思うので、日本語レビュー1つだけなのは勿体ないな~と感じてしまう。届くべき所に届くといいな。

 Steamのサマーセールが始まったのでウキウキでいっぱいゲームを増やしてしまった。全部やりたいから仕方ないね。みなさまもサマーセールを楽しめますように。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?