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新型コロナウイルスで義母が亡くなりました〜変わり果てた姿

2021年8月。コロナウイルスに感染し、南大阪にある妻の実家近くの市民病院に入院した義母は、ウイルスで機能しなくなった肺の代わりに、ECMOという人工肺で体中の血液を一旦ECMOに送り、また体内に戻すという処置を受けており、我々は、病院から電話で説明を受けた義父が、LINEビデオ通話で妻に説明するという形で聞くしかありませんでした。

この時の義母の肺のレントゲン写真は、真っ白だったそうです。

一方、義弟は、保健所からの指示で医療機関でPCR検査を受け、もちろん陽性で、時々咳が出る後遺症があるものの、若さもあって、自宅療養で回復に向かいました。

幸い、義父の二人いる妹の内のもう一人であるおばさんが、食糧などを定期的に実家に届けてくれたりしたお陰で、まともな食生活が送れたようです。

クラスターで感染したおばさんも、疾患がなかった為か、割と軽症で済み、自宅待機で回復に向かったようで、それも朗報でした。

同じく感染している義父は、保健所から電話で隔離・様子見期間の説明を受け、酸素メーターを支給され、酸素飽和濃度の数値が90を切ってしまったら、保健所へ連絡しろと言われており、LINE電話で妻と話す度に咳が酷くなっていたのですが、しばらくして数値が90を下回ってしまったそうですが、義父は連絡するのを躊躇ったそうで、その数値を発見した義弟がすぐ保健所へ連絡し、義父もまた別の病院に入院することになってしまいました。

入院後も義父の咳はどんどん酷くなっており、結局義父も重篤患者となってしまいました。

実は義母も救急車で運ばれる前に診療に行く際に一度病院へ行くことを拒否しており、この現象は気質なのか?その場から動くのが辛すぎて動けないのか?しんど過ぎて思考能力が低下するからなのか?受け入れ難い現実に体が拒否反応を示しているのか?分かりませんが、とにかく症状の悪化スピードが早すぎて、自分の容態を受け入れることが難しくなってしまうのかもしれないと認識しました。

一番重篤化してしまっている義母は、ECMOで人工的に血を循環させる際、血管に血栓が出来てしまわないよう血液がサラサラになる薬も投与するそうなのですが、義母にはそれでも血栓が出来てしまい、入院間もなく血栓が体内を巡ることで命が危険に晒されてしまい、病院から入院中の義父に電話があり、緊急面会を許され、義弟とおばさんと、義母の姉とその娘である妻の従姉妹の4人で面会に行くことになりました。

面会と言っても、完全に隔離された治療室から担当看護師さんがタブレットでビデオを繋いでくれるオンライン面会という形で、その画面を妻の従姉妹がLINEビデオ通話で映してくれ、更にパソコンに映したビデオ通話を別の携帯で、別の病院に入院している義父に繋ぐという方法で急遽連携を取りました。

緊急入院以来、義母がどの様な状態なのか?全く分からず、その様子が明らかになるということで、期待と不安が入り混じった複雑な感情でした。

いよいよ面会となり、妻の従姉妹が繋いでくれているLINEビデオの画面を全員で覗き込みながら、固唾を飲んでいると、義母が治療を受けている病室の前の廊下の様子が映し出され、防護服姿の職員さん達が数人画面に映り込み、ウイルスの脅威と、医療関係者の方に対する感謝の念が入り混った不思議な感情が湧き起こりました。

そしてドアが開き、TVドラマで見たことのある隔離用の透明な分厚いシートに覆われたベッドに、口の端や鼻からチューブを数本覗かせ、ありとあらゆる機材に繋がれながら横たわり眠る義母の変わり果てた姿が映し出されました。

あまりにも痛々しいその姿に僕自身は絶句してしまい、いつもは騒がしい娘たちも、この時ばかりは空気を察してか神妙な面持ちで、長女は特に自然と涙が溢れ、画面を直視出来ないようでした。

現場にいる義母の姉や、妻の従姉妹やおばさんが義母の名前を呼び始め、妻も「お母さんがんばって」とほとんど意識がないであろう義母にひたすら呼びかけることしか出来ず、義弟は場を和ませようとしてか、いつも通りの冗談を投げかけるのが、逆に空回りしていた何とも言えない空気でした。

携帯で何重にも中継されている状態で、これまた鼻にチューブをつけたまま、変わり果てた伴侶に「がんばれよ!死んだらあかんぞ!」と病床から声を振り絞る義父の姿に胸が押しつぶされそうでした。

数分でオンライン面会は終了し、駆けつけてくれた義母の姉と従姉妹やおばさんに、ありがとうと言う事しかできない妻。

突然の事態に居ても立ってもいられない妻でしたが、今から五女と六女を連れて飛行機に飛び乗ったとしても、結局3日間のホテル隔離と、その後クラスターが起こった実家に11日間滞在するのは危険過ぎるのと、上4人と僕でオランダに残り、生活するのも非現実的だということで、結局は遠いオランダの地で祈るしかないという選択をせざるを得ませんでした。

つづく・・・

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