フランスでタイヤがパンク 〜起〜
2021年6月のお話です。
ドライバーサービスの常連さんから、フランス・パリ郊外に、落札した骨董品をピックアップに行って欲しいとご依頼を頂き、車で片道約480kmの道のりを往復することになりました。
コロナの影響で人の移動が減り、ドライバーの仕事がほとんどない状態で、急遽立ち上げたデリバリーで超自転車操業状態が続いていたので、久々の大きな仕事は本当にありがたい状況でした。
ただ陸路とは言え、国境を越えるのはかなり久々でしたので、ネットで調べたところ、PCR検査の陰性証明の持参が義務付けられており、(2021年6月時点)その検査費用をお客さんが持って下さるということで、初となるPCR唾液検査を受けさせてもらいました。
唾液検査の唾液を溜める容器の口の部分が受け皿になっていて、そこに唾液をペッペペッペと溜めて行くのですが、なかなか線まで溜まらず、途中スマホでレモンの画像を見たりしてがんばって、線まで溜まったかどうか分からない感じでしたが、係員にOKをもらったので、提出して帰路に着くと、家に着く直前で見慣れぬ番号から電話があり、どうやら規定値まで溜まっていなかったようで、もう一回唾液を溜めに来いとのこと。
検査場が近所で良かったと思いながら戻ってもう一度ペッペペッペすると今度は容器の線まで溜まったのが目で確認出来たので何とか無事提出。
(さっきの容器に不具合があったのか?よく分かりませんでした。)
この唾液検査、なかなかの難関で子供にはキツいのではないでしょうか?
翌日メールで陰性の結果が来て、それをプリントアウトして持参しておき、いざ当日デリバリー用のクーラーボックスに飲料水やパンやおやつを積んで、午前10:00頃久々のフランスへ向けて出発しました。
2月頃から流行った音声アプリClubhouseで、もっぱら長距離運転中は部屋を立ち上げ、遊びに来てくれた方々との会話を楽しみながら運転するのが定番化しており、この日も早々に部屋を立ち上げ、おしゃべりを楽しみつつ、途中ベルギーやフランスの国境で陰性証明のチェックなどもなく、ノンストップで目的地であるパリ近郊の高台にある高級住宅街へ到着しました。
その骨董品を受け取るのは立派なお屋敷で、依頼主の方が落札したガラス製のついたてを、しっかり緩衝材やロープで固定し、復路もClubhouseを楽しみながら元来た道を颯爽と車を飛ばしました。
この調子なら途中1回程の食事休憩の後、何とか今日中に依頼主の方のご自宅に骨董品を届けられると、余裕をかましていた矢先、復路出発から100km程過ぎた辺りで突然左後ろタイヤの空気圧が下がっていると警告表示され、すぐ間近に迫ったサービスエリアでタイヤのチェックと食事とトイレを済ませようと考えた途端、車がガクガクしだし、ダッシュボードの表示を見ると左後ろタイヤの空気圧が何と0に!!
完全にパンクしたと焦りながらもサービスエリアが目前だった幸運を喜びつつ、何とか空気圧0のタイヤでガクガクしながらサービスエリアに滑り込みました。
車の振動で詰んでいたガラスのついたてが割れることもなく、ホッとしましたが、左後ろタイヤを見て愕然!ズタボロ状態で大事故に繋がらなかった幸運を更に感謝しました。
せっかく積み込んだガラス製のついたてを今度はまた慎重に降ろし、ジャッキとスペアタイヤを探しますが、どこにも見当たらず、あったのは折り畳み式の緊急停止を知らせる三角灯のみ。
人生で自らパンクを直した経験は過去数回あったので、久々のタイヤ交換かと余裕をかましていたのですが、そもそもこの数年間メイン車両にスペアタイヤやジャッキなどが積まれていないことを認識していなかったとは!?
いささか自分のいい加減さに驚きましたw
この一連の騒動中も音声アプリClubhouseで部屋にお越し頂いている皆様の色々なご協力や経験談などを聞きながら、月額きっちり支払っている、24時間EU圏内をカバーしているロードサービスに妻から電話してもらったのですが、時刻は既に21:00。
確かこの頃フランスは夜間外出規制が続いているんじゃないか?ということで、妻が機転を利かせてくれ、夜間外出許可書類を作成し、LINEに送ってくれ、万が一警察の尋問にあった際に、これを見せれば何とかなる状態に。
しかし、24時間対応のロードサービスの電話はオランダ語の自動音声な上、なかなかオペレーターに繋がらず、Clubhouseに集まって下さったオランダ在住の先輩方や、いつも困った時にサポートして下さる方々のごお力添えのお陰で、ようやくロードサービススタッフに繋がり、フランスの緊急番号112番に直接電話するようにということでした。
オランダ語はもちろん、英語も出来ない当の私本人が、とにかく112にかけてみることに。
#当たって砕けろ
電話すると完全にフランス語の女性が出て、必死で「トラブル」「パンクチュア」などと単語を連呼していると、多分どこの国の人間だ?と聞かれたようで、その女性がいろいろな国名を言い始め、「ジャポネ?」と聞こえたので「ヤー!ジャポネ!ジャポネ!!」と歓喜の声をあげると、なぜかそれがその女性のツボにハマったようで、電話口の向こうでその女性が笑い転げてしまい、ヒーヒーと笑いを堪えながら「ジャポネね。ちょっと待ってや。」としばらく電話口で待たされることに。
#どこがおもろいねん
しばらくすると「はい、お電話代わりました。法定通訳人の鈴木でございます。」と流暢な日本語で応えてくれる鈴木さんという生粋の日本人女性が登場し、「うわー!ありがとうございます!!」とフランスのどこだか分からない高速道路上の片隅で、日本語で話せる喜びを実感しました。
おそらく、フランスの112番、すなわち日本で言う110番には、あらゆる移民に対応出来るよう通訳の方が提携して下さっていて、24時間体制(たぶん)でスタンばって下さっているのだろうと予想しました。
パンクの状況と、Google mapで確認した土地名のアルファベットを一文字ずつ伝えると、鈴木さんは「はいはい、場所も分かりました。すぐにレッカー車が向かいます。」とあっさり処理してくれ、今度はレッカー車が来るまでどれぐらいかかるだろうと、長期戦を覚悟した矢先、なんと10分足らずでレッカー車が到着。
そもそも、EU圏内をカバーしてくれているというロードサービス会社が、各国ときちんと提携しており、フランスの場合は112番という緊急連絡先で対応してくれる事実に驚き、こんなところでも日本とは大きく違う文化の発見に、また一つ勉強になりました。
それにしても広大なフランスでなぜ10分足らずでレッカー車が来てくれたのでしょうか?
その秘密と、この後起こる更なる絶体絶命のピンチの話は、つづきということでw
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