見出し画像

むすばせてくれ、リアルな愛で

こんにちは!隔週木曜日はたべるばNOTEの日!
そして、今回は隔回挟まる丁稚の私情回です。
みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

まずは、クラファン達成、激☆おめでとうございます、にぎりむすび様!
目標達成後も寄付は止まらず、結果的に1336食分のギフトを得られたとのこと、本当におめでとうございます!すごくない?1336食だよ?35人学級38クラス分だよ?
1336人分のごはんだよ!快挙!

わたしはこの知らせをTwitterで知った時、なんというかすごくほっとしました。
たぶんなのですが、このクラファンに参加された方々って石油王とかヒルズ族とか、そういう方々ばかりじゃ無いのだと思うのです。
むしろ、普段のご飯は焼き鮭(生姜焼きも可)とご飯とお味噌汁にあと副菜少々とか、たまに外で呑むのが日々の励み、とか、カレーの日はちょっと心が躍るような、そんなごくごく普通の方々だと思うのです。
そんな普通の方々の想いが結ばれた1336食。コロナ禍で頑張ることを強いられた私たちにとって、これはもはや一つの奇跡と言っていいのではないでしょうか?

そんなこんなで改めて「おにぎり/おむすび」というワードのもつ力に想いを馳せる今日この頃。
そういえば、前々回「むき出し」(著・兼近大樹)を読んだ感想として「石山兄弟におにぎりもっていきたい…」と書いていたな、わたし。

そもそも、「おにぎり/おむすび」とはなんだ。

手元の広辞苑第四版によるとおにぎり→【御握り】(婦人語)にぎりめし。おむすび。おむすび→【御結び】(婦人語)握飯(にぎりめし)。そして、にぎりめし→【握り飯】握り固めた飯。むすび。おにぎり。ちなみに「むすび」を調べたところ、(もと女房詞)にぎりめし。とのこと。つまり、炊いたお米(飯)を握って固めたもの。グゥの音もでませんが、心の中で鈴木雅之が「違う、そうじゃない」って言っている。「おにぎり/おむすび」ってなんかこう、もっと何らかのロマンが、温度があるじゃない?独特の「だいじょうぶ」があるじゃない?
風邪ひいた時とか、枕元にあるとちょっと嬉しいじゃない?「今日は仕事が修羅場だなぁ、ランチ食べられるかなぁ」って時、バックの中に入れとくとちょっと無敵感湧かない?個人的に娘三歳のお弁当、おかず残されてもあっさりしてられるけど、おにぎり/おむすびが残っているとなんかちょっと心に波が立つ。ほんの少しだけ不安な気持ちになる。

ここまで全部主観なので、ちょっと文学の力を借りよう。まずは、「おむすびころりん」おむすびが転がってきて喜んだねずみたちが「おむすびころりん、うれしいな」と歌います。
そうです。おむすびは嬉しいものなのです。そして同じく昔話ジャンルから「にぎりめしと山伏」序盤、山に散策行く子どもたちは「腰にはにぎりめし、手には鳥もち棒」という装備です。その後、そのおにぎりを山に住む山伏に奪われたり、でも「お腹が空いた」と訴えれば今度は逆に「おいお前たち、これを食え」と言われたり(とはいえ怯えた子どもたちは走って逃げちゃう)にぎりめしは子どもたちにとってある種お守りのような描かれかたをしています。現代の絵本枠からは「おにぎりもって」(作:久住 昌之/イラスト:久住 卓也)これなんてもう、わくわくしちゃう。今すぐおにぎりもって大好きな人たちみんな集めてピクニックしたくなっちゃう。明るい気持ち、楽しい気持ち、ワクワク、ぜんぶの象徴として「おにぎり」がそこにある。大人向けでいえば「諸国空想料理店」(著:高山なおみ)にちらっと出てくる「200個のおにぎり」。この一言しか出てこないのだけど、でも壮大さと熱狂を十分に感じるフレーズで、大げさにいえば「命の逞しさ」のような一種の迫力を表している。
その他にも色々(児童書「もりのへなそうる」とかYA作品「男子☆弁当部-4巻」一般書からは「居酒屋ぼったくり」とかあと椎名誠作品をいくつか)ご紹介したいのですが、諸事情で現在、手持ちの本が各所に散らばりまくっており、どこを探していいかもわからない状況できちんとご紹介できないのが悲しい。

ついでに「おにぎり/おむすび」の文化的歴史的側面をゆるく探ってみましょう。
まず、名称ですが、西日本ではおにぎり、東日本ではおむすびという名称が主だと言うのが通説です。しかしながら、2003年の調査によると中部地方、中国地方以外では「おにぎり」が8割を超えているとのこと。つまり、全国的にメジャーな呼び方は「おにぎり」の方なんですね(初めて知った)。ちなみに「おにぎり/おむすび」の形ですが、三角形がメジャーになったのは最近のことのようで、1980年代までは丸型が主な地域(北海道、東北、中部)も多かったようです。これが2003年の調査では全国どこの地域でも6割以上が三角形となっており、どうやらこれは全国でチェーン展開するコンビニの影響が大きいとのこと…すごいな、コンビニ。
そしてコンビニといえばお弁当ですが、日本における駅弁第一号は1885年(明治18年)に栃木県宇都宮駅で発売されたもので、その内容はなんと「握り飯と沢庵を竹の皮で包んだもの」ちなみに、この年号と場所には諸説あるそうですが、内容に関しては「握り飯と沢庵」という点で一致しているそうです。なお、日本で最初の学校給食も「おにぎり、焼魚、漬物」の組み合わせ(1889年、山形県鶴岡市の私立忠愛小学校)だったようです。
ついでのついでに「おにぎり/おむすび」といば「のり」ですが、のりが巻かれるようになったのは1930年頃とのことで、結構最近でした。

そもそも「おにぎり/おむすび」はいつからあるのか?
こちらは1579年頃のおにぎり/おむすびの化石(炭化米塊)が新潟県(さすが!)鮫ヶ尾城跡から「出土」しているとのこと。おにぎり/おむすびの「化石」が「出土」。なんかかわいいし面白いぞ。面白いついでに横浜市の上の山遺跡(中世)からは三角形のおにぎりの中にお金(銭)を入れたものが複数見つかっています。じつはこのパターン、横浜市以外では見つかっていないとのことで、横浜!中世からしっかり個性を発揮するじゃん!
そしてどうやら「神様へのお供え物」だと思われる「おにぎり/おむすび」の化石が石川県で出土しているとのことで、こちらは約2000年前のものとのことです。2000年前のわたしたちも握っていたんだね…握り続けて2000年。思っていたよりも歴史が長くてびっくりしたぞ。(参考資料:横浜市歴史博物館(2019)『おにぎりの文化史』河出書房新社、白央篤司(2015)『にっぽんのおにぎり』理論社)

歴史の長さに引きずられ、またもや長々と書いちゃいました。
ここまでまさかの3000字超え。読んでくれた皆さま、本当にありがとうございます。
冒頭の件に戻りますが、にぎりむすびさま、クラファン達成おめでとうございます。そして賛同者のみなさま、みなさまは令和の奇跡です。アベンジャーズです、アルマゲドンなら石油採掘の男たち、バトルシップならミズリーのオールド・クルーそしてエクスペンデンスなら…
すいません。このくらいでやめておきます。ちなみに『シン・ゴジラ』でいうなら在来線です。それくらい、皆さまのお気持ちは尊く力を与えて下さるものだと思います。そしてその崇高さを、もしよろしければ「愛」だと言わせてください。

もちろん、われら「たべるば」も負けてはいられない。あの時の石山くんに届けることができなかったご飯と愛を、今改めて結んでいこう。
おにぎり/おむすびだってさ、今でこそぎゅっとなっているけど、最初はばらばらで固い玄米で、それが皮を剥いでさ、とがれてさ、水と蒸気で蒸されてさ、ほかほかになったらなんとなくみんな手をつないでさ、それがむすばれて、握ってのおにぎりであり、おむすびじゃない?わたしたちだって、結局みんな色んな皮を被ってさ、固くならざるを得なくてさ、ばらばらになっちゃって。でもそんなの寂しいし寒いじゃん?
だからわたしたちだって、手を握ろう。みんなでほかほかになれるように、寄り添っていられるように、大丈夫であるように。リアルな愛で結んでいこうぜ!


追記
クラファン達成された「にぎりむすび」様ですが、現在もサポーターの募集をされています。
もちろん、たべるばに寄付したい!という方もお待ちしております。公式HPからご寄付頂きますと、活動レポートとして毎月メルマガを配信しております。月二回以上丁稚の書いたものが読みたいよ!NOTEだけじゃ足りないよ!という方はぜひ、こちらもご検討くださいませ(ニッチすぎる)。

よろしければサポートお願いします。頂いたサポートは子ども食堂の活動資金として、食事の提供のほか学習支援やパントリー運営、遠足等こども達とのイベント費用に使わせていただきます。