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オタクの生前整理【番外編】生前整理してよかったこと

オタクが義実家の生前整理をしたお話です。シリーズは「こちら」からお読みいただけます。

■生前整理は大変だった、けどそれだけじゃない

シリーズ全般通して「辛かったこと」ばかり書いてしまった気がします。これで生前整理をする人が少なくなってしまったら本末転倒、意味がないですね、反省です。
なので、今回は「よかったこと」について熱く語りたいと思います。
ただ、「きれいになった」などの当たり前のことに関してはナシ。

■思いを受け継ぐことができる

生前整理の一番良いこと、それは生きているうちにその人の想いを確実に受け取り、受け継ぐことができるということ。

例えば今回、家を片付けるにあたって、初めて義母と交わした会話がたくさんありました
義母がかつて「料理屋さんに勤めていた」というような話はそれとな~く聞いていたのですが、なんと「自分で店を持っていた」というのです。知らんかった!
和室の壁に、やけにおおきな額があるな~と常々思っていたのですが、それはどうやら、お店を開店した際に友人から贈られた大切なものだそう。(↓一部画像)

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多くを語る人ではないので、この生前整理がなければ、一生聞くこともなかったはずでした。だってあまりにも家の景色に溶け込んでいて、いまさら誰も聞かなかったんですもの💦 あと、魚が3匹泳いでいるデザインだったので、いわゆる魚拓とかそういう系だと思い込んでました。義父が釣り好きな人でしたし(笑)

■「処分するかしないか」が直接聞ける

片付けの現場でしょっちゅう出くわす案件ですが、
  Aさん「これは取っておいた方がいい」
  Bさん「これは捨てていい」

という、家族内での意見の対立。

この場合、どちらをより優先するかと言えば、もちろん所有者の意見だと思うわけです。所有者が「こんなもの後世に残すなんて頼むからやめてくれ!」と思っているモノは、きちんと処分してあげた方がいい。もちろん価値のあるモノなら「売る」とか「譲る」とかできますが、「自分では出来が悪いと思っている趣味の品」とかは、総じて本人は捨ててほしいと思っているのに、周りが「せっかくだし」「捨てたら可哀想」とか理由を捏ねまわして捨てないものです。特に遺品整理ではそういう場面に出くわします。

その点、生前整理は、(本人の意識がはっきりしている限り)本人の希望を聞くことができます。
よくお葬式などで「本人の希望をかなえてあげたい…」なんていいますが、本人の希望は生きてるうちにしか聞けないのであって、葬式後に「本人の希望~」なんて言ったところでそれは単に、「周囲が」こうしてあげたいという希望にすぎないんですよね。

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たとえばこれ、義母の刺繍なんですが…
本人の意向としては「出来が悪いので捨ててほしい」とのこと。ていうか、そもそも義母が作ったものだと知りませんでしたので、それが聞けただけでも良かった。画像だと分かりにくいですが、結構色あせもありますし、たしかに捨てるしかないかも。
ですが、このうち「虎」の刺繍はなんと義父が入院中にヒマで見よう見まねでやってみたものだとか!(それは義母以外誰も知らなかった!)
協議の結果(義父の意見が聞けないので)虎は置いておこうという話になりました。
もしかしたら亡義父は草葉の陰で「やめてくれ!」といってるかもしれませんね。死んでしまうと希望なんて伝えられません。生きてるうちにいろいろと訊き出しておかないと駄目ですね。

意思を伝えるものとしてエンディングノートがあります。私もそれを普及させたいと願っていますが、やはり目が悪くなり手の動かしにくい高齢者には、文字で意思を残すのは難しいものです。だったら、片付けを通して、めいっぱいお話をして、口述でいいので自分の意思を伝えること。

生前整理にはそういう「本人の希望」が詰まっていました。

■片付けよりも、茶飲み話をたくさんしよう

こういう仕事をしているので、ママ友さんとか周囲の人から「親の家の片付けってどうしたらいい?」と聞かれることが多いです。でも、私のように仕事や趣味で片づけをしている人ならまだしも、一般の人には相当荷が重いと思います。マジで。私でさえ心折れそうになったくらいなんだから。
かといって「エンディングノートを書け!」なんていっても効果は薄いですし、そもそも絶対書いてくれないと思う。
そんな時に効果的だと思うのは、やっぱりたくさん「話す」こと。
いまの内から自分の想いをたくさん人に話しておくこと。

おそらく、人が人に受け継ぎたいモノって、その人の人生そのものだと思うんです。大事に保管してほしいもの、今すぐにでも捨ててほしいもの、たくさん聞いておいてあげること。それだけで、おそらく、お互いの気持ちが楽になります。作業的なものは、他人だって業者だって肩代わりしてあげられるけれど、「想いを聞いておく」ことは、家族しかできませんから…。


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