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「浮かせる収納」は果たして効果的か?あるお客様のケース

お客様から「道具を買ってきたので洗面所とお風呂を『浮かせる収納』にしてください!」というご依頼をいただきました。

■いま話題の「浮かせる収納」

数年前から収納界隈でブームになっているのが、この「浮かせる収納」
これは、特に水回りのボトル類や小物類を、壁面や鏡に設置するという収納術。

インスタグラムで「浮かせる収納」を検索した結果。人気の高さが分かります。

床からボトル類を離して置くことで、
①ぬめりがなくなる、
②掃除がし安くなる、
③見た目にもおしゃれ。
というわけでネットや雑誌で大人気。
私自身も好きですし、もちろん活用しています。

お客様からのご指示ですし、「やってください」と言われればやらざるを得ないのか家事代行という仕事です。洗面所とお風呂場で、お客様の指示通りに壁に道具を設置していき、台や床の上に散らばっていたものをそちらに移動しました。

結果的にどうなったかといいますと――

散らばっていたものが視界(視点)のより近い位置に移動してしまい、余計に散らかって見えるという結果になりました。

■真似してみたはいいけれど、残念な結果に…

今や SNS などで美しい収納法、効果的な収納方法などが簡単に検索できる時代です。
その中でもこの「浮かせる収納」というのは、壁にぺたりと貼るシールなどを利用するだけで作業も簡単。かつ、ものの底面が床や台に接していないことで、床や台の掃除もしやすくなると大変に人気の方法です。
このお客様が大枚をはたいて道具を買い込んできたのもうなずけます。

しかし。
収納の大原則とはまず、要るものと要らないものの分別から始まります。
それをせずに全部を壁に浮かせたところで見た目が綺麗になるわけではなく…。

むしろこのお客様の場合、
洗面所では、ごちゃごちゃした小物類の混雑っぷりが却って良く見えるようになり、見た目が悪くなりました。それどころか、そのごちゃごちゃしたものを子供が手に取る際にバラバラと落としてしまい、余計な手間を産み出しています。

当然のことながら、次にお訪ねした時には、きれいさっぱり取り去られていましたね…。

一方、お風呂場では壁面に浮かせたボトル類がなお健在。
確かに、ボトルの底が滑ることはなくなったのですが…
今度は壁と接している部分に赤カビが発生しており、そこを掃除するのが今まで以上に大変という事態に。
ちなみに、まだ小さいお子さんがいらっしゃるご家庭なので、壁からぶら下がっているボトルでお子さんが頭を打ったりしないか、私としては心配でもあります…。

更に、さらに!
ボトル類はいずれ中身の詰め替えをする時期が来ますよね?
今までは楽に詰め替えができていたのですが、頑丈に取り付けられている壁からボトルを取り外して詰め替える、という動作が余計な手間を生みました。
それが面倒になったらしく、結局新しいボトルを買ってきて、それが床に直置きされているのをお見掛けしてしまいました…。
ここまで来ると本末転倒にもほどがあります。

■収納業界も「新しい商品」を生み出すのに大変

これは収納業界に限らずですが、どの業界も「新しい商品」を出すことに必死になっています。
「浮かせる収納」は見た目も良く、大変に反響が大きかったわけですが、さてそれが自分のライフスタイルに合うのか? 本当に今まで以上に楽で効率的なのか? そこはじっくり考えないといけません。

もちろん「試してみないと実際のところは分からない!」というのも頷けるのですが、モノを減らすだけでスッキリできたはずの空間が、「浮かせる収納グッズ」を買い足したことによって、余計にモノが増えるケースも散見されています。

あと大事なのは、「失敗した!」からといって自分を責めなくてもいいのです。失敗は誰にでもあります。ここで気づけて良かったな、次に活かそう! と思えばいいだけ。

た だ し !
その収納グッズは早めに処分しましょうね。誰かに譲ったり売却したり、とにかく「失敗した」からといってずっと手元に残して置いたりしないように。それがまた更なる死蔵品となり、家を散らかす原因となります!


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