見出し画像

「キレイの基準」が人によって全然違うことを知って、優しくなれた私の話

Good Evening。フリーの家事代行業者です。
この仕事をする前、私は何事にもカリカリと怒りっぽい性格でした。
まぁ出産後でホルモンバランス的な問題もあったのかもしれませんけど、振り返ってみると恥ずかしいくらいに他人に「こうあるべき!」と持論を振りかざして怒りまくってたんですよね。
それを変えてくれたのは、やっぱりいまの仕事に就いたからかな、と思います。

私はいま「掃除を中心とした家事代行業」を個人で運営しています。掃除が好きすぎてこの仕事で独立しました。だから、人よりも「キレイ」には一家言あるつもりだし、技術もあった、つもり。
お掃除というのは「キレイをお届けする仕事」です。お客様に喜んでいただけるように、精いっぱいお家をきれいにさせていただいています。

ところがこの「キレイ」というのは、人によって感じ方が全然違うものなんですよね。
ご同業者なら頷いてもらえると思うのですが、汚い家の人に限ってきれいにしてあげてもあまり喜ばないとか、キレイな家の人は何をしても喜んでくれるとか。
「めちゃくちゃ家が汚れてて恥ずかしいです」という人に限ってあまり散らかってもいないとか、「ちょっと汚れてるだけ」という人の家は足の踏み場もなかったり。

日本では、家の中はあまり見せないのが美徳でしたよね。
だから、お互いの家の中がどんな風になっているか、誰もよく知りません。
その一方で、SNSなどを通じて理想だけは高くなっていく。

「キレイ」っていったい何でしょうね。

あるお客様はホコリを異常に気にする方だし、あるお客様はめっちゃ散らかってても気にならないのに床の汚れだけは気になる人。部屋だけ掃除させる人もいるし、水回りしか見たことない人もいる。
それ以外にも、たとえば魚焼きグリルを洗う人、洗わない人。バスタオルを洗う人、洗わない人。排水溝を洗うための専用スポンジがある人、ない人。

一度、中古物件をご購入になったお客様のところへ、入居前清掃でお伺いしたことがあります。私は掃除をしながらも、「床のどこに傷があったか」を事細かにお客様にご報告をしていました。(※私が付けた傷じゃないよ、という確認をしていただかないといけないわけです)
ところがお客様はちょっとイライラした感じに仰いました。「キズとかどうでもいいの。私はホコリの方が気になるから、ホコリを入念に掃除して!」と。
私の感覚だと、「ホコリなんか風で飛んでくからあまり気にならない。それより家の傷の方が大事じゃない?」という感じだったんですが、そうじゃなかったんですね。

友人で、ゴミ屋敷みたいなところに住んでる子がいるんですが。
ゴミ屋敷すぎて喘息まで起こしてるくせに、「私は潔癖症だから掃除はできないの」と言い張る。料理は好きなんだけど、シンクはカビまみれ。遊びに行くたびにキッチン掃除をしてあげてました。
その彼女曰く、「確かにシンクはカビまみれだけど、排水溝のネットは毎日掃除してるの。だからうちは不潔じゃないよ」と。
それって「風呂には入ってないけどパンツだけは履き替えてるから私は清潔」というような屁理屈なんですけどもね…。

とまれかくまれ。
家事代行だと、私のルールは適応されず、そのお家の人の指示に従って作業をしなければなりません。
「え、食器を洗うスポンジで排水溝も洗っちゃっていいんですか…(汗)」
「まさか、魚焼きグリル、ずっと洗わず使ってらっしゃる…!?」
「はぁ、バスタオルは家族全員で共有…ですか」
みたいな心の声はぐっと堪えて。
※もちろん、あまりにあまりなケースは「洗っておきましょうか?(ニッコリ)」とご提案しますが。

こう言うのを経験して、「みんな違ってみんな(どうでも)いい、自分は自分だけのルールで好きにしよう」という気分になりました。

でも、この感覚があるおかげで、すごく楽になりました。

そうそう。「アンガーマネジメント」教室をやってらっしゃる教師の方がお話しなさってたんですが。
教室の最初に、「最近一番腹が立ったこと」を書いてもらって、それを椅子に置いて、全員で席替えをするのだそう。そしてそこに置いてあった「誰かの腹立ちエピソード」を読んでもらう。すると、ほとんどの人が「何に腹が立ったのか理解できない」というんだって。
怒りのポイントってほぼほぼ「自分のルールに従っていない」というだけであるらしく、だから「他の誰にも共感されないことで勝手に一人で腹を立てている」らしい。
この仕事を始める前の私と同じ…。

家事代行を始めて、「万人に適応できる正しいルールはない」ということを実感し、なんとなく他人にも自分にも優しくなれた気がします。

よく、「旦那が家事を手伝ってくれない」「子どもが散らかしてばっかり」などという愚痴を見ますが、私(と同業者)から見るとドングリの背比べで、そういうママさんもまぁ似たようなものなんですよね…自分のルールや基準に縛られて、自分の首を絞めている状態。でもそれがゆえに、苦しいんだろうな、というのが分かります。

みんな、自分を縛ってるモノから解放されて、もう少し楽になってくれよぅ。

もしサポートのご意思があるなら、お気持ちだけで。別の困っている方へ直接ご寄付ください。私と私の家族は元気なのでnote経由のサポートの必要はありません(*'ω'*)