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オタクの生前整理【番外編】:伝えなきゃ伝わらない

オタクの生前整理【リターンズ】というシリーズで、リフォームに伴う義実家の片付けに着手した話を連載しておりましたが、そのシリーズから漏れた小話を追記していきたいと思います。

■義父の形見の腕時計がどれだか分からない

私と主人が結婚して、もう10年以上。それ以前からも、主人は就職して長らく住んでいた義実家を離れて生活しています。季節ごとの帰省は欠かさず行っていますし、法事などもきちんとこなす義実家。今では同じ県内に住んでいることもあり、普通の人に比べればまめに義実家に顔を出している方だと自負していますが、それでも毎日顔を合わせるわけではないので、親とも打ち解けた話をしなくなっていたのだと思います。

今回のリフォームでいろんなものが出土した義実家ですが、仏壇の中から使い古された腕時計が数個、出てきました。義父の形見の品です。

ただ、ここで問題が生じました。
どれが「形見」なのかわからないのです。
主人曰く、どれかひとつが義父の形見で、他のモノは、義父が誰かから譲り受けた形見の品だということ。
おそらくそれを知るのは義父のみ。
そして義父はもうこの世にはいない。

主人としては、義父の形見は大事に取っておきたいと思っています。
しかし、そのほかは正直「どこの誰のモノかもわからない」ものなので、できれば手放したい…。
せめて「どこの誰のモノか」くらいが分かっていればまだいいのです。たとえば義父の父親とか、義父の兄とか。ですが、もしかしたら義父のただの知り合いとか、近所の人からもらっただけという可能性もある。その場合は正直、今すぐにでも捨ててしまいたい。だって、知らない人の古い腕時計なんて…要らないじゃないですか…。

自分にとっては形見の品かもしれないけれど、その子供やその孫に至っては、「どこの誰のモノかわからない、それゆえに、気持ち悪いもの」になってしまう。まして、その出所がわからないと、ただの不審物です。

結局主人は悩みに悩み、確実に義父の持ち物だと分かるカメラをひとつ、残しておくことにして、腕時計は全部手放すことにしました。それでも「もし、これが父さんの腕時計だったら…」と相当悩んでいました。

私は結構マメに「友人からの手紙」なども処分をしているのですが、これは何も私が不義理だからではなく、「この手紙をゆくゆくは私の子供に処分させるのかと思うと申し訳ない」という気持ちからです。

形見の品。
なかなか家族の間でそのことについて語ることはないでしょう。
でも、いずれそれを子供などに処分してもらう日が来るのなら、せめて「伝える」ことだけはしておかないといけないなと痛感しました。

それと同時に、「壊れて動かない古い腕時計」も、大切な人が身に着けていたものなら「思い出」になるけど、それが赤の他人だったら「ただのゴミ」「一刻も早く捨てたいモノ」でしかない、ということも思い知りました。

受け継いでほしいものはありますか。
そのことについて、誰かに伝えていますか
伝えるだけで、受け取る人の心の負担がかなり軽くなります

コロナ禍で家の中にいる時間が増えましたね。
少し、自分の思い出の品について、家族と語る時間を持ちませんか。


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