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Web3 x ロイヤリティプログラムに取り組む海外スタートアップ(中編)

前回ご紹介したFORUM3とHANGに続き、今回も注目の2社をご紹介したいと思います。今日取り上げる2社は、元Consensysのディレクターが立ち上げた3mintと、元High Alphaのディレクターが立ち上げたHolderの2社です。

大きくはロイヤリティプログラムという枠組みに入ると思いますが、どちらもまた少しずつ違ったアプローチで興味深いのでぜひご覧ください。

3mint

  • 創業メンバー

    • Tom Borgers氏(CEO、元ConsensysのDirector of Corp Dev, Strategic Initiative)

    • Dimitris Borgers氏(CTO、元Capital Oneの元PM)

余談ですが、創業者2名は名字が同じなので兄弟の可能性も?
兄弟といえば、今、最も注目を集める起業家の一人であろうOpenAIのSam Altman氏も3人兄弟で、末っ子のJack AltmanはLatticeというHR Tech系のスタートアップ(これまでに3億ドル以上調達)の創業者。そして、その兄弟3人でApolloというファンドを立ち上げていたりします。

Altman Brothers Band: Sam Altman’s Newest Project Is A Fund To Launch Startup ‘Moonshots’

さて、話を元に戻しましょう。3mintの事業概要です。

  • 事業概要

    • スマートコントラクトの作成やメタデータの管理、ウォレット、トランザクションのモニタリング、セキュリティ、ブロックチェーンインフラ・・・など、ブロックチェーンを利用する際に手間となる部分を、SaaSおよびAPIツールキットという形で提供し、簡単に実現可能にすることを目指しています

    • 2022年11月にパブリックα版がリリースされ、その時点でHubspotやSalesforce、Shopify、MailchimpなどのCRMやECツールと連動が可能であることが記載されています

  • ソリューションのユースケース

    • Loyalty & Reward

      • エンゲージメント向上とパワーユーザーを可視化するためのプログラム構築

    • Engagement Campaign

      • 顧客向けのコレクタブル(NFTと思われる)を簡単に作成・送付し、エンゲージメントの向上を図る

    • Digital Communities & Memberships

      • 優良顧客を、そのブランドのオーナーやアンバサダーにすることでリテンションを図る

      • 階層別のメンバーシッププログラムの構築・運営が可能。メンバーシップ自体も有料で販売できる

    • Token Gated Commerce

      • 限定コレクタブルを作成し、特定の顧客に送付またはQRコードを通じて配布。その限定コレクタブルを保有している人のみ限定で、特別な商品、特別な価格で提供

  • 顧客

    • Brooklyn Cannery

    • HPやSNSなどで確認できるのは執筆時点ではこの1社のみでした。

  • 資金調達

    • 具体的な金額は分かりませんが2021年に設立されたFiat Ventures、2017年に設立されたNGC Venturesなどから、2023年4月に調達しているようです(Pitch Bookより)

プロダクト自体は前回紹介したHangと似ている印象ですが、Hangはコミュニティを構築すること、また、そこにゲーム性を加えることを重視している一方で、3mintはより王道のメンバーシップやロイヤリティプログラム構築という位置付けでしょうか。

それでは次に、Holderです。同社の特徴の一つは、これまで紹介したスタートアップはNIKEなど、ファンを抱えるブランド企業向けのソリューションでしたが、このHolderはNFTプロジェクトなどのWeb3企業をターゲットにしていることです。

Holder

  • 創業メンバー

    • Drew Beechler(元High AlphaのMarketing Director)

  • 事業概要

    • Forms

      • オンチェーンとオフチェーンデータの統合

      • メンバーシップの認証、ファーストパーティーデータやゼロパーティデータを活用したやウォレットの統合管理

    • Audience Builder

      • オンチェーンデータとオフチェーンデータを組み合わせた顧客セグメントの作成など

      • NFTホルダーなどのコミュニティメンバーの管理

      • DiscordやTwitter、Openseaなどに点在するコンタクトデータの統合

    • Messaging

      • Web2とWeb3チャンネルを横断したワークフローや自動キャンペーン作成

      • セグメント別の通知をメールやSNS、SMSなどで送付

      • オンチェーン上のアクティビティ(エアドロップなど)をトリガーにしたメッセージ送信

  • 顧客

    • 冒頭で紹介の通り、HolderのターゲットはNFTプロジェクトなどWeb3サービスを提供する企業です(マーケットを考えると、今後変わる可能性が高いのでは、とも想像していますが)

    • そのため、ホームページ上で顧客として公開されているのもNFTプロジェクト群になっています

      • PIXEL BEASTS、Woodies、cameoPASS、MEMSなど

  • 資金調達

    • これまで110万ドルを調達したとされています(Crunchbase

    • 出資したのは創業者が勤めていたHigh Alphaとなっています


今回はこちらで以上です。
どちらも2022年、まだ設立から1年近くの生まれたてですが、これからどのように成長していくのか、注目していきたいと思います。

最終回となる次回は、元Salesforceメンバーが立ち上げたFLAUNT(実はここもHigh Alphaが支援している)と、Shopify向けのロイヤリティプログラムアプリを提供しているTaco Labsの2つをお届け予定です。

では!

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