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教養と規範意識

週プレ連載宣伝。今回は『「勤労青年」の教養文化史』で書いた。内容としてはnoteに書いたものを深堀りした感じ。

今回取り上げた戦後の勤労青年たちは、実利が無いからこそ教養を求めたし、深く学びたいと考えたという。原稿では話がとっ散らかるので使わなかったが、これは社会規範と市場規範の話に近い気がする。

社会規範は共同体のルールである。行為の対価と期限が不明瞭で、お互い様の精神で動いている。対して市場規範はその名の通り市場のルール。対価は定量的に示されて、支払期限も明確だ。

この社会規範と市場規範の話は以前に本しゃぶりで書いたので、知らない人はまずそっちを読んで欲しい。

これを教養に関して当てはめたらどうだろうか。まず現代人について考えてみよう。現代人は教養を市場規範をベースに捉えている。必要なリソースはどれくらいで、リターンはどうなるのか。そんな考え方で教養も見ている。

市場規範が適用されるのは、自由な社会に生きているからだ。選択肢が豊富で、自分の持つリソースを様々な手段で金に変えることができる。生まれや学歴はあいかわらず大きな要因ではあるけれども、それだけで人生が決まるわけではない。自由な取引ができるからこそ、市場のルールで物事を考えるし、コスパを求めるわけだ。

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