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イーロン・マスクと炎症反応

読んでいる。

まだ読み途中で、Twitter買収の話が始まった辺りである。ここまで来ると、いよいよ現在に追いつきつつある感じがしてくる。

上巻を読み終えた時に書いた感想は、イーロン・マスクの良い点に注目したものだった。

今回は逆に悪い点について書く。ただ断っておくが、あくまでもこれはウォルター・アイザックソン視点で描かれたマスクに対しての感想である。言うまでもなく俺はイーロン・マスクと会ったこともなければ話したこともない。普通は噂で聞いただけの他人についてあれこれ言うのはよろしくないが、本を読んだ感想なので見逃してもらいたい。

マスクは緊急事態が発生すると生き生きするタイプの人である。全従業員に号令をかけ、自らも最前線で陣頭指揮を取る。そういう時に生きていることを実感するのだ。

この性質は創業時には有効に働くことも多い。スタートアップというのはだいたい不安定で、繰り返し危機に陥る。そんな時に逃げるようでは会社は潰れてしまう。危機に真っ向から立ち向かって行かなくていけない。逃走よりも闘争を。これが創業者に求められる性質である。

しかしスタートアップといっても、常に危機が迫っているというわけではない。海は時化となることもあれば凪となることもあるように、会社経営も落ち着く時期は存在するものだ。

マスクはこれが我慢ならない。問題が見当たらなければ、何か問題はないかと探し求める。そうしてちょっとした課題を針小棒大に騒ぎ立て、従業員たちに発破をかけるのだ。時には課題が見つからないこともある。無ければ作るのがマスク流だ。本書ではTwitter買収もこの流れで行われたとしている。たまたまテスラもスペースXも順調で、手元には株を売って得た莫大な現金もある時だ。暇と金を持て余したマスクの対象となったのがTwitterだったというわけだ。

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