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健康と気候風土、そして支配

読んだ。

また『〇〇の文化史』シリーズで、今回は「老いと健康」だ。本書は健康の本であるが、直接的にはあまり役に立たない。なぜなら1800年以前のヨーロッパにおける健康指南の歴史を紹介しているからだ。その指示は正しいものもあれば、瀉血のように今となっては誤りのものもある。本書は健康になるための本ではなく、健康になるために人々が何をしてきたかの本である。

昔のことを書いている以外に、もう一つ本書には特徴がある。それは古代ギリシアの医者、ヒポクラテスの教えにそって章立てがされていることだ。ヒポクラテスは「ノンナチュラリア」という人の健康状態を左右する6つの環境要因を提唱した。

  1. 気、水、地

  2. 食べ物と飲み物

  3. 運動と休息

  4. 睡眠と目覚め

  5. 保持と排泄

  6. 情緒バランス

2, 3, 4は分かりやすいし、6も精神だから受け入れやすい。要するに「睡運瞑菜」である。それに比べると1と5は説明したほうがいいだろう。

1の「気、水、地」はまさに生活環境である。住まう土地の風土について書かれている。確かに言われてみれば、気候風土は健康に重要な要素だ。快適な環境なら長生きしやすいだろうし、厳しい環境は寿命を縮めそうだ。健康は住む場所で決まる。

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