『少年とふたりの飛天 迦夜と迦羅のものがたり』 宇佐美健一◎文 としくらえみ◎絵 風涛社
絵本作家、画家、幼稚園の先生でもあった、
“としくらえみ”さん。
糸島の図書館の未来を考える会で、龍國寺で初めてお会いした時の印象は、
”可愛らしい方だなぁ“”
でした。
地域の交流場所として《はつしおとしょかん》をつくること、そのために絵本の寄付を募っている話をすると、快く賛同してくださり、後日、えみさんが描かれた絵本を寄付してくださいました。
それは、先日の3.11の日。
えみさんとは一度しかまだお会いしたことがないけれど、この絵本を読んで、えみさんが体験された事、えみさんの人となり、えみさんを可愛らしい。と思った自分のファーストインプレッションは、間違いないなぁ。と感じたのです。
一本の松。
その松の根元に水をやる少年。少年は、生まれつき耳が遠い。そして、その松は、亡くなったお父さんが植えた松。
この松は枯れている。枯れている事を知っていながら、この少年は、毎日川から水を汲んで根元に水をやるのです。
お母さんは、生まれた時にはいなかったし、 お父さんは、戦争で亡くなっていて、ひとりぼっちの少年。
悲しい話だな、、と思いながらも、不思議と悲壮感は漂わない。この暖かい光に包まれている絵に、幸福とさえ感じる。
ある日、川に水を汲みに行くと、桶の箍が切れてしまって、少年は竹林に入ります。
そこで出会った、美しい蝶々🦋
ある一本の竹の上をひらひら舞い上がる蝶を見て、少年は、その竹を桶の箍に使おうと決めます。
《水の精 迦夜 かや》
《火の精 迦羅 から》
少年を助けようと、蝶と一緒に舞い降りた、飛天✨
川に水を汲みに行くと、桶に注いだ水は、今までより輝いて見えて、柔らかく感じた少年。いつものように、松に水をやると、桶にはどんどん水が溢れてくる。松の根元には、池ができるほど。
家路に着く少年。
雨が降り、ある日松を見に行くと、枯れていた松は葉をつけていた。たくましく、生きている鼓動を感じる、死んではいなかった松。
少年は嬉しかっただろうな。
息づいていた命。
お父さんが見てくれていたのかな。
とも思ったかなぁ。
“切った竹の先で、笛を作ってごらん”
と、少年は、どこからか聞こえる声を聞いて、竹笛を作ります。
思いのままに、竹笛を吹きます。
少年には聞こえたかなぁ。
きっと、聞こえてる。
肌で、体で、心で。。
最後に、歌があるんです。
音楽もされる、えみさん。
心で音楽を奏でているんだろうな。
パートナーの宇佐美健一さんと一緒に作ったこの絵本は、えみさん自身が、当時の原発事故で心を痛めた時に、描きながら自分自身も救われた。と語ってらっしゃいます。
天然素材で色を出しているそうです。 松は、墨で。。
自然の人なんだ、、えみさんは。だから、強くもあり、可愛らしいんだ。
えみさんにも。えみさんの絵本にも会いたくなる🌸
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