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『巨人の花よめ』       菱木晃子 文        平澤朋子 絵        BL出版


先週末に、太宰府にある、

“絵本のお店 あっぷっぷ”さんにいった時、お店内の展示スペースで、この絵本の原画展をしていました。

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この企画を知らずして、偶然出会った絵本の原画。 この絵本を読むたびに、思い出すだろうな、あっぷっぷさんに来たこと、その後に、太宰府天満宮にいったことも、、。

サーメ〔またはサーミ〕とは、先住民族の名称。ヨーロッパの北部、スカンジナビア半島北部を中心とした地域に住むサーメ人。

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厳しい自然の中で、トナカイを放牧したり、川で魚をとったりしながら暮らしているそうです。

《コルト》とよばれる民族衣装、なんて鮮やかなお洋服なんだろう、真っ白な雪の中で、さらに一段と映える色味、可愛いなぁ。

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サーメの人々に伝わる昔話を元に作られているこの“巨人の花よめ”。

この一見平和に見えるこの場所から、遠く離れた高い山の向こうに、1人の巨人が住んでいて、ときどき、山から降りてきては、トナカイを襲ったり、人々のものを盗んだりしていたそうです。

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村で一際美しく、知恵のあるチャルミが、巨人から目を付けられたのも納得、花嫁になれ。と言われ、どうやってこの申し出を切り抜けていくか、、やりますね〜、才色兼備だなぁ。

“金と銀を10頭のトナカイに乗せてきたら、結婚するわ”

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巨人が持ってくると、

“もうあと10頭分、そしたら結婚式をするわ。”

巨人は言う通りに持ってきます。どれだけ隠し持っているんだろう、、、

結婚の申し出を受け入れたチャルミ。。

でも、ここで引き下がらないのがこのチャルミ。

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サーメのしきたりでは、結婚をする時は、3日間宴を催すこと、花嫁は、3日間自分のテントで過ごし、花婿とは会えないのです。

その3日目に、大木とすり替わったチャルミ。

宴も終わり、何度声をかけても返事がない、不思議に思った巨人は、やっと大木花嫁に気付いたのです。

怒り狂った巨人! 山の裾のサーメの村まで探しに行きます。それを予測していた、チャルミ。

川の氷に穴を開け、、

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川に落ちた巨人は流されて、それ以降、村には平和が訪れました、とさ。

厳しい自然の中で、どう生き抜くか。ということを、巨人に例えて作られたお話であり、知恵を絞って、日々暮らすことがこの絵本には描かれています。

1枚1枚、、壁にかけられた原画。 本になる前の姿は、その1枚の絵から醸し出される表情が違っていました。

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文字も絵に入っていないので、その風景から読み取る、想像することができる。

そんな楽しさもあるんだな。

原画と絵本を比べながら、サーメ人の人を想う、豊かな時間でした。

※巨人の花よめ原画展は、↓                                   “絵本のお店 あっぷっぷ”                                      2月2日〜2月27日まで。

http://ehon-appuppu.noor.jp/


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