『モリス・レスモアとふしぎな空とぶ本』 ウィリアム・ジョイス 作・絵 おびか ゆうこ 訳 徳間書店
朝起きると、自分の本を開き、 嬉しかったこと、悲しかったこと、見たこと、願っている事、、ひとつ残らず書くことにしていたモリス・レモリア。
この世でいちばん大切なものは、本だった📕
空が暗くなり、風が吹き上がったある日、何もかもが吹き飛ばされた。 思いもよらないことは、突然、起こる。
吹き飛ばされた、モリスの書いた言葉。 バラバラにどこかに飛んでいってしまった、思い出。
歩くしかない。
どこへ行くのか、どうするのか、、
とにかく歩くしかない。
空飛ぶ本につかまって、どこかへ飛んでいこうとしている、キレイな女の人が目の前に現れて、腕に乗せていた青い本に、何かを告げた。
その青い本は、モリスのほうに来て、
ついておいで。
と合図した。
青い本について行った先には、大きな立派な建物があって、あっちから、こっちから、色んな本がその建物に吸い込まれていく。
パタパタ パタパタ
ページをバタつかせて、今にも、読んで!といいように、囁きながら楽しそうに飛び回る本たち。
そこは、本たちの住処のようだった。
モリスが本を読むと、たくさんの本がモリスのまわりに集まって、楽しそうに踊り始める。
モリスは本たちと一緒に暮らし始めることになった📚
まずは、本の整理から。でも、きちんと並べても、勝手に本は動きまわる。
悲しい本は、愉快な本の隣に行きたがる。 分厚い真面目な本は、マンガや楽しい本の隣に行きたがる。
傷んだ本を治したり、バラバラになろうとしていたページは丁寧に貼り合わせたり。
モリスは本のお世話をすりことが、大好きで、 何日も物語に迷い込んで、読み込む日もあったり、、
他の人にも読んでもらいたいな。
モリスは、本の貸し出しをすることにする。
人気の本もあれば、誰にも読んでもらえない本もあったり、
モリスは本たちに伝える。
“どの本も、かけがえのない大切なものだよ。”
本たちは、嬉しそうにした。
図書館にいくと、何万冊もの本がある。 新しい本がどんどん発行されると、古くなった本は倉庫に保管され、人目の触れない場所に行く。
私たちが触れられることができる本は、人生にどれくらいだろう。この世に生まれた本たちは、何人の人の手に渡り、読まれるんだろう。
モリスは、本たちが眠った後に、自分の本を書き始める。嬉しいこと、悲しいこと、きいたこと、願っていること、を。
何年も月日は流れた。 若いモリスも、腰が曲がり、シワだらけのおじいちゃんになった。 本たちは、少しも変わらなかった。
モリスが本を読んだように、今度は本がモリスのために語った。
モリスは、自分の本を書き終える日が来た。
“そろそろ、旅立つ時が来たようだ。”
“みんな、いつまでもずっと、僕の心の中にいるからね。”
本たちに伝える、モリス。
キレイな女の人に会ったあの日のように、モリスもたくさんの本に連れられて、空には飛んでいった。
しょんぼりする本たち。
青い本は、モリスの書いた本をみんなに読んだ。
モリスの人生の、悲しいこと、うれしいこと、見たこと、聞いたこと、、心から願ったことを。
小さな女の子が、建物に入ってきて、その話を聞いていた。すると、モリスが書いた本が、女の子の手に飛び込んでいった。
読んで欲しそうに、、そのページを開けて。
物語は、語り継がれる。 大事な大事なその人の記憶と共に。
本は、生きていて欲しい。 私たちが手に取り、読むことで、命が宿ると思っている。きっと、本だけではなく、食器だって、文房具だって、どんなものも、使わなければ、そっぽ向いて、廃れてしまう。
そのものを生かすには。
大切に、大事にできる分を自分の元に。
本のファンタジーがこの絵本にいっぱい詰め込まれていた。なんだか、一冊一冊、本を撫でてあげたい気分になったな📚
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