見出し画像

9本に分かれて流れていた羅漢寺川下流部(「東京人」2020年10月号記事補足)


 「東京人」2020年10月号は「東京暗渠散歩ーまちの記憶を旅する」と題した、暗渠特集。白汚零さんの幻想的な写真に始まり、盛り沢山の内容となっていますが、その中で私は「東京の暗渠空間学」と題した概論記事とおすすめコース3箇所「神田川支流」「羅漢寺川」「四谷用水」の執筆、そして細馬宏通先生との水窪川巡り&対談でかかわらせていただきました。

 おすすめコースはそれぞれ2ページの分量で載せられる情報も写真も限られていましたので、その中で羅漢寺川について、下流部の9本の分流の紹介と写真をこちらに掲載します。羅漢寺川の紹介や9本の分流ができた経緯については「東京人」の記事をお読みください。地図に記した番号1から順にご紹介します。

羅漢寺川全体図

ーーーーーーーーーーー

北から順に、まず1本目。細い路地の真ん中に浅いV字型の溝。蛇行も残っている。流れには周辺の湧水も加わっていた。3枚目は大鳥公園付近にあった池からの流れの名残の暗渠。

支流1-1

支流1-2

支流1-3

2本目。短い区間だけだが、忘れられたように残された、両端に目黒区が設置した車止めのある未舗装の空き地。室外機がはみ出していたり自転車が放置されていたり。

支流2-1

支流2-2

3本目。こちらはほとんど痕跡はないのだが、唯一わかるのがこの家の隙間の、微妙な幅の空間。

支流3

4本目。羅漢寺川の現在の本流。暗渠の上には車止めなどがあり、わかりやすい。暗渠の出口が目黒川の護岸に開いている。

支流4-2

支流4

見やすいよう、ここでもう一度冒頭の地図を再掲。4まで紹介してきた。

羅漢寺川全体図

5本目。車止めに仕切られた路地を奥まで進むと蓋掛けの溝も残っている。とても暗渠らしい景観。羅漢寺川本流との接続部は地図等では確認できず。もしかすると(4)や(6)から水田に取り入れた水を排水するための水路だったのかもしれない。(7)や(9)も同様に(6)や(8)から取り入れた水の排水路だった可能性あり。

支流5-1

支流5-2

支流5-3

6本目。普通の道路になっていて、全く水路の面影はない。

支流6

7本目。細いながら蓋掛けの水路がかなり続き、その上流も未舗装の路地。路肩を見ると護岸らしき大谷石も埋まり、すぐそばが山手通りだとは思えない秘境感がある。

支流7-1

支流7-2

支流7-3

8本目。山手通の西側、ビルの隙間に、緑色のフェンスで阻まれた舗装暗渠が。目黒区によくあるパターンだ。中には入れないが、かなり奥まで続いている。羅漢寺川本流との分岐点付近は半ば私有地かされている(3枚目)。

支流8-1

支流8-2

支流8-3

9本目。よくあるような暗渠路地がまっすぐに続いている。山手通りを超えた西側にも短い路地として残っている。

支流9

支流9-2

羅漢寺川の暗渠は目黒不動より上流側が地形も景観も路地も魅力的で、そちらにばかり注目があつまりますが、下流部もこのように様々な暗渠景観を楽しめます。ぜひこちらも探検してみてください。

羅漢寺川全体図



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?