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アイデアの宝箱

福田里香著
『フードラッピング』柴田書店 初版1997年

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 昔から紙製品が好きで、初めて出会う紙製品は匂いや触れた時の音を何度も確かめてしまう。紙製品や紙雑貨が好きならば、福田里香さんの『フードラッピング』は購入するしかない。こんな紙、こんな包み方……お肉屋さんが使う紙って買えるんだ……小学生なみの感想をつぶやきながら、見たことのないラッピングアイデアにぐんぐん引き込まれる。被写体をクローズアップした写真からは紙の感触やにおいが伝わってきそう。

 この本の面白さは、ラッピングアイデアの引用元にある。各国のデリ、お菓子やさんの包装、市販のキャンディーやチョコレートなどからインスパイアされている。日本の伝承も登場する。日常や身の回りを見つめてアイデアを抽出する。福田さん自身パッケージデザインなどをしていたそうなので、パッケージに対する視点やアンテナは鋭い。この本を読んでから、私も市販品のパッケージ注目するようになった。海外旅行には気軽に行けないけれど、ディーン&デルーカや都市部の雑貨屋なんかには海外のお菓子が販売されているのでパッケージに注目し、気に入ったものは所謂<ジャケ買い>ってやつをしてしまう。市販品のパッケージにはブランドの考え方やデザイナーの情熱や遊び心が詰まっている……福田里香さんは教えてくれている。

本書は紙の使い方もさることながら、布の使い方にもキラリと光るものがある。この生地をこれに使うか!と、福田さんの素晴らしい色彩感覚にハッとする。この色彩感覚は澄み渡った川のように、福田さんのインスタグラムや最近のご著書『新しいサラダ』にも脈々と流れ続けている。

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