常備菜は無敵
飛田和緒著
『常備菜』 主婦と生活社 初版2011年
料理研究家・飛田和緒さんを知ったのは、飛田さんと作家・谷村志穂さんとの共著『お買い物日記』を読んでからだ。この『お買い物日記』は2冊刊行されていて、読んでいくと飛田さんが暮らし上手なのがわかる。筆者は<暮らし>を追求する人は大好きだし、尊敬する。
この『常備菜』は、文字通り常備菜が109点掲載されている。1ページの構成が絵日記のようになっていて上半分が完成写真、下半分がレシピのテキスト。そのシンプルな構成が読者に体感させるのは《常備菜に敵はなし》ということだ。上げ膳据え膳の生活だと、常備菜とは品数合わせにテーブルの片隅に出されるもの、という印象が強いと思う。だが、自身で調理するようになると常備菜というものが無敵であることがわかる。忙しい時や疲れている時、ごはんをあっためて、常備菜さえあればなんとかなる。もしくは晩酌のつまみ、お弁当のスキマに。常備菜の良さは<まごはやさしい>でおなじみの食材が食卓に上がりやすくなることだ。『常備菜』にも野菜や乾物、豆の常備菜レシピが豊富である。神様がロングバケーションを与えてくださったいま、常備菜づくりにも精を出して、おうち時間を充実させる時だわ、と手元に置いている。ザワークラウト(キャベツを乳酸発酵させたもの)の作り方が簡便になっていたり、ラタトゥイユを角切りでなくザク切りで作られていた点が筆者に解放感を与えてくれた一冊でもある。
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