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すきとかきらいとか、良い人とか悪い人とか。



職場の人間関係の話をしたい。

私が今働いている部署は女性5人に男性1人。

男性は最年長であり、部署をまとめる立場でもある。
つまり上司だ。

この上司には色々と思う事がある。
同僚のお姉様方もよく口にする。

肝心な時にいないとか、すぐ電話しながらどこかへ行くとか。
対応が軽いとかタバコくさいとか。
でも基本的に悪い人ではないのだ。


今日は調子が悪かった。

部署外での話だが、例えばエレベーターの対応がうまく出来なかった。

私はエレベーターが苦手だ。
上へ行くのか下へ行くのか、乗り合わせた人が何階へ行くのか聞いたり、ドアの「開」ボタンを押したり、荷物が多ければ奥に乗るとか、お客様は優先とか…
短時間で判断しなければならないことが多すぎると思う。

そのあたりを今日はうまくこなせなかった。

そんな時、私はとんでもなく自分が無能な人間のように感じてしまうのだ。


部署に戻り、例の上司がパソコンのまえに座っていた。
エレベーター諸々、なんだか沈んだ気持ちで隣のパソコンの前にすわる。

その時上司はこう言った。

「ソウが食べたいな。」

???
「ソウ?」

「アイスの爽ですか?」

「うん。あれ氷入ってておいしいやん?」

あ、やっぱりこの人は悪い人ではない。
反射的にそう思った。


この人は悪い人ではない。
この人は嫌いではない。


一緒に働く人に対してこの人は良い人、この人は好きだと言いきるのはハードルが高いし、余程本質を知らないと軽々と口にできないと思っている。

だけど悪い人ではないなとか、嫌いではないな、と思える瞬間に立ち会った時にほっとする自分がいる。

例えば真夏、ガンガン照りの場所から木陰に入ったとき、かすかに風を感じるような。
あるいは学校で、真冬に窓際に座ると感じるぽかぽかとした温もり。

さりげないけれど、それはきっと働く人達の「やめない」理由になったりする。


「爽はうちの子ども達も好きです。暑い時はおいしいですよね。」

当たり障りのない返事をする。


悪い人ではないな。
嫌いではないな。


それは決してネガティブではない。

良い人だ、この人は好きだと思うよりずっと身近で生活のあちこちに溢れている。

そんな控えめな信頼感を持って、私は明日も職場へと向かうのだろう。



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