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読書メモ:華胥の幽夢

小野不由美さんの十二国紀シリーズを読み通しています。華胥の幽夢(かしょのゆめ)は8番目の本(上下巻は一冊として数えています)で短編集です。

読書メモを始めたのが最近なので、書いていませんが、十二国紀は図南の翼(7番目の本)が今のところ最高傑作だと思います。とにかく読んでいて気持ちいい。十二国紀を読んだことがない人は図南の翼を読んでみて気に入ったら通しで読んでみるのもいいんじゃないかと思います。

十二国紀は最初の本が約30年前に書かれているということもあって、現世を描いた部分に時代のずれを感じる部分もなくはないですが、メインの十二国の部分は時代を超えたファンタジーなので、いつ読んでも全く問題ありません。

異世界物が最近流行っていますが、流行りものとは一味違う作品です。流行りものにも目を通していますけれども、そういうものはなんというかうっすい味付けなんですよね。十二国紀には深い人間性を感じます。とにかくおすすめ。

華胥の幽夢の内容に全く入っていませんが、一つだけ紹介させていただきたいのはこの言葉。

「責難することは、何かを成すことではないんです」

昔から人を非難したり悪口を言いふらしたりするような人はいますけれども、それが世のため人のためになっているケースはほんっとにごくまれですよね。他人を悪くいうことで自分が上になった気になるのかもしれませんけれども、一瞬自分の気分がよくなるだけで何の生産性もないです。責難するだけじゃなく、ポジティブなフィードバックを心掛けたりして、何かを成し遂げることを常に意図していたい。自戒を込めて。

今ここで書いたお説教みたいな言葉の1000倍心にしみるかたちで、「責難することは、何かを成すことではないんです」という言葉が物語の中で紡がれます。小説という体裁でしか伝えられないメッセージというものがあって、十二国紀シリーズではそれが良く伝わってきます。素晴らしい作品です。とにかくおすすめ。大事なことなので二度いいました。

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