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もう、ひとりごとじゃない

娘は記憶力がよくて、薬の名前をよく覚えている。

昨日、僕はちょっと胃の調子が悪くて、妻が胃薬を出してくれていたら、

娘「それ、なあに?」

妻「これ?ガスター。」

娘「あ、ガスター?」

と、ここだけ切り取ると、なんか普通の会話っぽい。

その後はまた、娘独特のボキャブラリーを使った、片言の発話に戻っちゃったけど。

娘のひとりごと期

娘は外では極端に寡黙だけど、家ではかなりよくしゃべる。1〜2歳の、まだ単語らしい単語はほとんど言えなかった頃から、消しゴムとか積み木とか、人形でないものを並べて、それを人に見立てて何かしゃべっていた。娘は保育園で先生やお友達が言ったことをよく覚えていて、それをおままごとで再現しているらしかった。3~4歳になると、内容がちゃんと聞き取れるようにしゃべる時もあり、保育園で先生に聞いたら実際にそういう会話があったとウラが取れたこともあった。

でも、いくらよくしゃべるといっても、それらは全てひとりごとだった。親に対してすら、娘からの意思表示といえば「◯◯たべたい」とか、「◯◯いきたい」とか、ごく単純な表現に限られていた。

娘の会話期

娘が会話らしいことをするのが増えたのは、小学校に入ってからだった。

「明日、新宿駅に、行きたい」

というように、「いつ、どこへ、なにを」をはっきり言えるようになり、てにをは(助詞)を正確に使えるようになり、そして何より、それを人に対して言うようになった。

最近はさらに独特のスタイルが加わり、お友達の名前を挙げて、

「◯◯くんが、△△△って、ゆってた?」

と、自分が言いたいことを他人のセリフとして言う(しかもなぜか疑問形)というへんなクセがついてしまったのだけど。知らない人は、これにはかなり戸惑う。

しかも、言っている内容の半分ぐらいは、親にも意味が分からない。

しかし娘はお構いなしに、この独特のスタイルでニコニコと楽しそうに、人に話しかけまくっている。

これはとても大きな変化で、僕たち夫婦は嬉しかった。支援学級での手厚いケアのおかげだと思う。先生方が娘と一対一で、じっくりと会話してくださっているのだと思う。先生方には、ほんとうに感謝しかない。

あいづちを打つ

このいい感じの流れのまま、娘をさらに伸ばしていくには、方法はひとつしかない。あいづちを打つのだ。

先生方も、僕ら夫婦も、娘が

「△△△って、ゆってた?」

と話しかけてきたら、たとえ意味が分からなくても、

「うん、ゆってたよ。」

という感じであいづちを打つ。というか、そういう肯定的なあいづちを相手が打ってくれるまで娘は納得せず、同じことを延々と言い続けるのだけれど。

あいづちは娘に対するフィードバックであって、娘にとっては、

「言ったことが、相手に通じた。」

という、小さな成功体験になる。

これを積み重ねていった先に、冒頭のような普通な感じの会話が少しでも増えてくれればいいなぁと、ほのかに期待している。


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