書評(ちょいたし)「サピエンス全史」(上巻) 「虚構」がもたらす破壊力
上巻を読み返していて、やっぱり大切なポイントを外しちゃったかな、と思ったので、ちょっと書き足したい。
上巻の出だしは、
ホモ・サピエンスは
誕生した当初は、全然特別な存在じゃなかった
と主張するところから始まる。
ホモ・サピエンスは、
「取るに足りない動物にすぎず」
「ゴリラやホタルやクラゲと大差なかった」
とまで言い切っている。
そして、そんな「取るに足りない」ホモ・サピエンスが、なぜ地球上を席巻するようになったかと言えば、それは
「虚構」
の力によるものだ、というのだ。
約7万年前に起こった「認知革命」。
この時、ホモ・サピエンスは(おそらく遺伝子の突然変異によって)虚構について考えたり話したりする能力を手に入れたらしい。
この「虚構」は、他に「神話」、「物語」、「想像上の現実」などとも表現されていて、この本全体を貫く、いちばん重要なキーワードだ。
(まだ上巻しか読んでないけど、たぶんそうだ)
僕たちが、ありもしないことを空想したり、話したりできるということには、みんな同意してくれると思う。そして、そういう能力がキジやイヌやサルにはたぶんない、ということにも。
でも、虚構について話す能力こそが、ホモ・サピエンスが他の生き物を大きく引き離す原動力となったんだ、と言われてもピンとこない。
ここが分かりにくいのだ。
そこで、なんと著者は第2章の中の「プジョー伝説」という一節をまるごと費やして、虚構がいかに僕たちの力になっているかを説明している。
「企業」というのは、実体のない想像上の存在にすぎない。でもみんなが「企業」の存在を信じているおかげで、なん千人、なん万人という人たちが協力して、高性能な自動車を大量に作り続けるという離れ業を、僕たちはやってのける。
この本はある意味では、虚構がホモ・サピエンスにもたらした変革の歴史について書かれた本、なのかもしれない。
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