細胞の中で「燃焼」が起きてないのはとても不思議ですごいと思う
前回、筋肉の中で力を出すタンパク質、ミオシンについて、「燃焼を伴わずに力を出す」のがすごいと書いたけど…
別に筋肉に限らず、僕たちの体の中では、燃焼は一切起きてない。どこも燃えてないもんね?僕らの体は。燃えたら大変なことになっちゃう。
細胞の中で、燃焼や高温を伴わずにいろんな化学反応が起きるのは、それだけでも十分に不思議だ。
でも、僕が特に不思議に思うというか、心ひかれるのは、
「食べ物を燃やさずに、食べ物からエネルギーを取り出している。」
というところだ。
生き物は、食べ物に含まれる物質を、よりエネルギーの低い安定した物質に変えて、その過程でエネルギーを取り出している。
これと同じことを人工的にやろうとしたら、ものを燃やしてエネルギーを取り出すか、電池が必要だ。特に燃料電池は、細胞がやってることに比較的近い。でも、いずれにせよ、細胞よりはるかに巨大な「装置」が必要だ。
そんな「エネルギーを取り出す」プロセスを、生き物は燃焼を伴わずに、極端な高温も伴わずに、小さな細胞の中で完結させている。真核細胞も、それよりヒトケタ小さいバクテリアも、これができるのだ。
細胞というミクロな「装置」のこういう底知れない不思議さに、とても心ひかれる。