ロット差をチェックする(主に)ふたつの方法
前回、ロット差について書いたけど、
この記事では、
「ふたつのロットの試薬と使って、同じサンプルで実験して、結果を比較する。」
っていう方法しか書かなかった。
でもこれだと、新しいロットの試薬が届いた時に、前のロットもまだ残ってないといけない。
このためには、ひとつのロットの試薬を完全には使い切らないように、常に気を付けておく必要がある。
でも、前のロットの試薬を残せないケースもあるだろう。
その代表例が、ELISAキットを使って、継続的に実験や検査をしているケースだ。
ELISAキットって、96ウェルプレートと、その他の必要な試薬類がセットになってる、かなり高価なキットだ。測定には時間も手間もかかるし、集中力もかなり要る。新しいロットのキットを使い始める時に、前のロットのキットも少し残しておいて、それも同時に測定するなんて、あまり現実的じゃないだろう。
こういう場合、普通は内部標準とかInternal Controlとかいわれるサンプルを使う。
ある、比較的多めに用意できるサンプルで、測定したらある程度高い値が出ると分かっているサンプルを、たくさんの小さな容器に小分けにして、厳重に冷凍保存しておくのだ。
そして、ELISAの測定をするたびにこの内部標準サンプルを1本出してきて、他のサンプルと一緒に測定しておくのだ。
内部標準サンプルは、同一のサンプルを小分けにしたものだから、理想的にはいつも同じ測定値が出るはずだ。
もちろん、違うロットのキットを使えば、値は少しは変わるだろうけど。
それに、同じロットのキットでも、測定する時の部屋の温度とか、実験の手際なんかも違うから、内部標準サンプルの測定値は全く同じにはならずに、毎回少しずつ異なるだろう。
でも、それでも、
内部標準サンプルの測定値は、
いつ、どのロットのキットで測定しても
ほぼほぼ同じだろう
と、期待できる。
・・・はずだ。
それが、あるロットのキットで測定してみたら、
内部標準サンプルの測定値が今までとはえらく違う!
ってなったら・・・
そのロットのキットの品質に問題があるかもしれない。
実験を、どこかしくじったかもしれない。
いずれにせよ、その測定結果が正しいかどうか、
「疑ってかかる必要があるぞ」
と分かるのだ。
そしてキットのメーカーにも連絡したりして、いろいろ調べると、そのロットのキットがちょっとおかしかったです、と分かることもある。
ロット差の被害を回避することができるのだ。
つまり、ロット差の問題をなるべく回避する方法は、おおまかには2種類ある。
① 同一のサンプルを、複数のロットの試薬で測ってみて、ロット差をチェック。
② 毎回同じ内部標準サンプルを測定し、その値が今までと大きく違わないかチェック。
業務として毎日たくさんの検査を行っている施設だと、この①、②の少なくとも一方は徹底されていると思う。
大学のラボでは・・・
どうだろうか・・・?
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