上司が異動になった話

入社以来ずっとお世話になっていた上司が異動になった。

わたしには2人の上司がおり、ひとりは感覚派の人たらし営業マネージャー、もうひとりは超論理派の技術上がりの営業サブマネージャーでまったくの正反対の性質を持っていた。
わたしは後者のサブマネージャーに実務を習っていたが、どちらかというと直感で動くタイプのせいか、論理派のサブとはそりが合わず、ずいぶんいじめられた。
調子のいい事ばかり言って技術力のないわたしは、技術あがりのサブからすると生意気で腹の立つことが多かったのだろうし、うちの会社は技術力のない営業は売れないという風潮もある。実際サブは技術力を駆使したセールスで常にうちの営業のトップを走っていた。
そんな風潮のなか、まったく技術力なしに毎年売上トップ3に入り続けている営業が、マネージャーだった。(ちなみに営業は全員で35名)
技術力がないことをずいぶん揶揄されていたわたしに、直観と人間力で注文をもらうスタイルを確立するように言い続けてくれたのもマネージャーだった。口癖は「客も上司も同僚もどんなにむかついても、転がせ」。わたしが悔しさで泣いているときに何度も「あきらめるなよ。絶対に数字がついてくるから。」と声をかけてくれていた。
そんなマネージャーがこの春から地方の営業所へ異動となった。所長として新規開拓と売上アップを期待されていると噂に聞いた。きっとマネージャーならやり遂げるだろうと思う。
栄転だ。だけど、ものすごく寂しい気持ちになった。

それもそのはずだ。プライベートでも彼女に会わせてもらっていたり、ご飯を食べさせてもらったり、一緒の出張で飲んだくれたりしていたので、仕事に大幅な時間が割かれているわたしの生活では結構な比重を占めていたのだ。妹みたいだと冗談のように言ってくれていたけれど、わたしも本当のお兄ちゃんのように感じていた。

辞令が出てしばらく放心していたが、段々心も納得してきた。
きっと壮行会でも半泣きで伝えることになりそうだが、感謝の気持ちを伝えたい。

本当にお世話になりました。ありがとうございました。

 

編集:アカ ヨシロウ

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