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翻訳通訳ブックガイド

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翻訳通訳に関連する本をさまざまな切り口で紹介。 翻訳者、通訳者になるために勉強した本、プロデビュー後の愛用書、翻訳者・通訳者が登場する作品紹介など。
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記事一覧

リレーエッセイ「言葉のプロ・この2冊」/翻訳者としての心構えを思い出させてくれる本(紹介する人:山本真麻)

英日翻訳者の山本真麻です。翻訳で食べていきたいと決意した頃に読んだ本は、いま読み返しても気づきを与えてくれ、情熱を呼び覚ましてくれます。日々のノルマや単価、「正しい日本語」に追われすぎて視野が狭くなったときに気持ちをリセットしてくれる、思い入れのある2冊をご紹介します。 『あなたも翻訳家になれる! エダヒロ式[英語→日本語]力の磨き方』枝廣淳子著者は、環境分野で通訳・翻訳をはじめ幅広く活動されている枝廣淳子さん。翻訳初学者、特に出版翻訳を目指す人をターゲットに、「買ってもら

リレーエッセイ「言葉のプロ・この2冊」/翻訳の森を歩くための本 (紹介する人:菊地清香)

英日翻訳者の菊地清香と申します。翻訳の勉強を始めたころから今に至るまで、私にとっての指針となっている2冊をご紹介します。 『翻訳とは何か――職業としての翻訳』 翻訳をするときは虫の目と鳥の目を持つこと、という。前置詞、冠詞を含め、単語ひとつをおろそかにしない虫の目。そして、文章全体の論理展開をつかむ鳥の目。1本1本の木々と森全体を見ることができてこそ、訳語選びに間違いのない筋の通った訳文が生まれる。フリーランスとして自宅でひとり仕事をしていると、自分の仕事そのものが小さな粒

リレーエッセイ「言葉のプロ・この2冊」/翻訳の海を進む櫂となる本(紹介する人: 古森科子)

日英・英日翻訳者の古森科子です。2000年に実務翻訳を開始、2012年からは出版翻訳の勉強を始め、最近は翻訳書の下訳等にも取り組んでいます。日英、英日、実務、出版を問わず翻訳全般に役立つ2冊をご紹介します。 『日英語表現辞典』辞書・辞典が「引く」ものと「読む」ものに大別されるとすれば、本書は明らかに後者に該当する。わからない言葉や用法が出てきたときにその都度「引く」辞書・辞典とは違い、「読む」方はかゆいところにすぐ手が届くわけでなく、必ずしも調べたい言葉が載っているとはかぎ

「通訳者・翻訳者になる本2022」「通訳翻訳ジャーナル」記事掲載のお知らせ

通訳者・翻訳者を目指す人や現役プロ、業界関係者向けの季刊誌『通訳・翻訳ジャーナル』の別冊、イカロス出版『通訳者・翻訳者になる本2022』。 この【特別企画】「小説・まんが・映画 通訳者・翻訳者が活躍する作品に触れてみよう」に、当Webzine編集委員の佐藤直樹さんが執筆しています。 さらに、『通訳翻訳ジャーナル』2021年春号では、巻頭特別企画「通訳者・翻訳者が活躍する作品ガイド」を佐藤さんが執筆しています。 通訳者・翻訳者が活躍する小説やマンガ等のリストから派生して、

アンケート集計レポート(2)書籍編「これが響いた! ことば、通訳、翻訳 2020年を振り返る」

2020年11月30日~12月15日に実施した読者アンケートにご回答いただいた皆さま、ありがとうございました。トークイベント編に続いて、書籍編の結果を発表いたします。 通訳、翻訳、ことば関連の本は、トーハンや日販、オリコンなどが発表する本の年間ベストセラーランキングで見かけることは例年あまりありません。語学やことばというテーマは時宜的な部分もありますがおおむね普遍的で、「読みどき」は人それぞれ。その分、長く読み継がれている優れた本が数多くあります。 そのためこのアンケート

翻訳者・通訳者が登場する小説、映画、マンガのリスト (佐藤直樹) <2021/02/21更新>

調べものがあってネット検索をしていたところ、ある推理小説を紹介しているブログが目に留まりました。私は特に推理小説好きというわけではないのですが、ブログには「主人公が翻訳者である」と書かれていてその一点に興味を引かれました。 私は語学系の出版社で翻訳者志望者向けの情報誌の編集を務め、並行して翻訳・通訳に関する情報サイトの編集担当をしていました。「翻訳」や「通訳」という単語が目に入ると、その時の習いでそれらの文章を読んでしまいます。前述のブログを読んだ時、「この本のように、翻訳