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成長

続編を楽しみにするというのは、漫画だと当たり前ですが、ノンフィクションだと傑作続きになるかわかりません。作家の力も試されるし、難しいのでは…なんて考えます。

さて、読み終わらせたのは…

前作は大ヒット作品であり、何気ないイギリスの中学生の日常を母親の目線で描いたものです。人種差別や経済格差、デモ等に中学生が何を感じどう行動したのか、心の成長を追っていました。

その続編ですが、読んでグッとくるところは、おそらくみな違うと思います。それだけ多くの気になる箇所があるし、ノンフィクションだからこそ味わうことのできる感覚にあふれています。

個人的には「君たちは社会を信じられるか」の章がグッドです。少年がスピーチのテストの話題に選んだのは、2年前の日本の台風19号、「東京の避難所からホームレスの人が追い返された」話から、なぜそれが起こったのか?考察する。追い返した避難所の職員の深層心理の中を読み、

「・・・たぶん、その人はそのとき自分のことは考えてなくて、というか自分のことを考えていたとしても、それは避難所にいるほかの人たちとか、一緒に働いている人たちが自分のことをどう思うかということを考えていて、なんていうか、うまく言えないいんだけど、本当は自分のことは考えていなかったんじゃないかな」

とのべ、職員は社会を信用することができなかったのではと考えている。(細かいことは、本書を読んでください。)

それは少年の視界の広さと指摘されて気づく私自身の未熟さです。空気を読むという言葉があり、私自身もそれを行うことがある。それは、すべてが悪いわけではない。しかし、時に社会を信用し、自らの正しいと信じる道を歩むことが必要なのであろう。(過信ではあってはならないのは言うまでもないが…)

後半にカトリックの中学校に行かず、元底辺中学校に進学したことを隣家の母親に親子で質問されるシーンがある。「カトリックの学校に行かなかったこと、後悔している?」と質問を受ける。そこでの中学生の答えに一年前とは違う答えが出る。それは、間違えなく成長だと個人的に思う。

自分にも娘、息子がいるが、彼らはどんな成長を遂げるのだろう・・・、ロクに面倒も見ていないから、反発されてばかりだが・・・


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