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反省

『おもかげ復元師 (ポプラ文庫)』

を読み終わらせた。本書は納棺師さんが書かれたものです。東日本大震災での復元納棺が6章から述べられている。。

あの折、自分は多少のボランティアはしたが、大したことは出来なかった。もっとやるべきことがあったなと考えさせられる。

前半は納棺に伴う、人々との関わりが述べられている。これは我々僧侶が行う枕経の意義やそこでの工夫の種にもなりうるものであろう。

共に有るとはどういうものなのか?を改めて学び直しになった。また、本書の「おわりに」には、葬儀の意味を改めて教えてくれてもいる。少し長いですが引用しましょう。

 だからこそ、人間には知恵がありました。かつて人を見送る葬儀は、時間をかけて故人をしのんだものです。そして、ゆっくりとした時間のなかで、故人のいない生活に少しずつ入っていくことができました。                        しかし現代は、葬儀が短時間で終わる、形式優先の儀式になってしまいました。               誰もがせわしく生きています。寂しさを受けとめたり、まぎらわせる時間もない。しかし、それでは当たり前にやってくる死に、きちんと向き合う機会を失ってしまいます。結果、悲しみのなかで必死に考えている人を見守れる大人も残念ながら減っています。支える側は忍耐強く、その人の心を信じ、すぐそばで見守らなければなりません。大切な家族の「死」を体験している人には、それができる人が多い。家族が自分自身の力で立ち上がれるまで、そばで見守れる大人が増えてくれることを願います。    人は、本当は強い。亡くなった人を大切に思うからこそ、必ず立ち上がれる瞬間が、みんなにあるのです。                       しかし、早く立ち直って、いつも通りに振る舞わないといけない、などと思う必要はありません。時間をかけて、一緒に過ごした時を思い、大切な人の存在をしのぶ。そして、ゆっくり、じっくりと、新しい生活に入っていけばよいのです。(247-248頁)

葬儀の時間を短くすることは、コロナ禍になりなおさら進んでいます。焼香もできないケースや焼香できても短時間というケースもあります。ただ、家族は世間体のために失う喪の時間が逆に確保できるケースもあります。より親しい存在であれば、喪の時間を大切にできる場合も有り得ます。

自坊では、ご自宅に都合が合う限り7日経を四十九日法要まで伺うことをしています。喪の時間の共有が、生きる力につながることを願ってです。

改めて枕経と葬儀の意義と意味を確認した。また著者の活動の凄さや意志の強さには、驚かされるとともに自身を見返し、反省する機会になった。学び大き一冊だと思います。

昨晩、宮城県で地震が起こっています。被害がないことを願っています。


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