コールドムーン

今年最後の満月が
ぽっかり浮かんでいる。
冷たい月、寒い月、
コールドムーン。
アメリカの農夫は
昔からそう読んでいた。

何もかも凍えそうな
闇夜に丸い顔を見せ、
枯れた樹木を氷らす
明け方の碧空にも
白い顔を見せていた、
コールドムーン。

透き通る美しさ、
儚く消えそうでいて
存在感がある。
「今年はどんなでしたか?」
そう尋ねているよう。
でも答えが見つからない。

「良いも悪いもなく、
ただただあっという間に
過ぎてしまいました」
その思いだけが、
ぽっかりと浮かぶ。
切なくて寂しくて。

コールドムーンを眺め、
哀しみが込み上げてくる。