柔道家

柔道をする人は
柔道選手ではなく
柔道家を言われる。
道を究めようと
切磋琢磨している
人物ということだ。

安部一二三は
その佇まいからして
歴とした柔道家である。
金メダルを獲ったときも
喜びを爆発することなく
笑顔ひとつ見せなかった。

畳を降りたときに
初めて笑みを見せた。
畳に向かって座って礼をし
コーチと抱き合って
押し殺していた喜びを
爆発して目頭を熱くした。

無邪気で明るい妹の詩も
金メダルを獲得したが、
そんな兄をさぞかし
誇らしく思ったことだろう。
柔道家、安部一二三。
世界に誇る武道家だ。