青鷺火

小沼に見知らぬ鳥がいた。
沼水に過細い足を入れ、
尖った嘴を水面に突っ込み、
何かを啄んでいた。

灰色の体つきで
鷺ではないかと思った。
「青鷺よ」と声がする。
光によっては青になるのだろう。

青鷺は夜に青白く光り、
これは青鷺火と呼ばれる。
妖しい光で古くから
怖れられていたという。

夜空を飛んだ姿は
火のように見え、
妖怪と見紛えたりし、
妖怪画集にも描かれている。

小沼で青鷺を見たのは
朝方の暗いうちだったが、
不気味ではあった。
夜中なら震え上がったかもしれない。