燕のいる家

目の前をワッと
低く飛翔する
黒い小さな物体。
小鳥だがあまりに速い
スピードに驚く。

古民家の軒下から
ツバメが僕を見ている。
光輝く藍黒の背と長い尾
顎と喉が赤く腹は白。
可愛い顔をしている。

朝の低い飛翔は
ツバメだったと気付く。
翼の形が釘型で
飛ぶ姿は頗る格好いい。
急旋回も抜群に上手い。

「ツバメが低く飛ぶと
雨が降る」との喩えがある。
その通りに雨が降った。
湿気があると餌となる
昆虫が低く飛ぶからだと。

ツバメは飛翔しながら
トンボやアブを口で
キャッチして食べる。
害虫を食べ穀物を食べない。
益虫として慕われている。

ツバメの雄の鳴き声は
「チュビチュビチュルルルル」。
農家の人たちはそれを
「土食って虫食って渋―い」
そう聞こえたのだそうだ。

土を食うのは巣作りのため。
泥と枯れ草で軒下に巣を作る。
子ができると賑やかになる。
商家では商売繁盛の印と
大変大事にされたという。

雛たちの鳴き声が煩いとか
糞が汚いとかといって
ツバメを追い払うようだが、
昔から人間と共存してきた。
風物詩でもあるツバメを
大事に見守って上げたい。